ポイント
3歳児にちょうどいい競技内容と声かけ、安全への配慮をイラストをつかってわかりやすくまとめました。
幼稚園・保育園の運動会でよくやる“サーキット”。
今回は3歳児クラスの子どもたちにちょうどいい運動を、現役保育士の視点も踏まえて、ご紹介します。
内容としては、
・マット
・大なわ
・フープ
・平均台
・とび箱
以上、5つの遊具をつかった、計12の運動をまとめます。
また、1番最初にサーキットの遊具配置の基本も書いていますので、合わせてご覧下さい。
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contents
サーキットの遊具配置の基本
ポイント
保護者から見えるかどうかは、“高さ”と“位置”がポイントです。
どんなに良い競技内容であっても、子どもたちの姿でも、保護者から見えなければまったく意味がありません。
地面に座っている保護者から見えるようにするには、遊具の“高さ”と“位置”を調整する必要があります。
上のイラストにもありますが、保護者に近い側の遊具は低いものにして、高いものは奥側に置いてください。
そうすると、保護者からは手前・奥、両方の競技をよく見ることができます。
次は遊具の配置です。
上の絵のように、保護者から見て縦に遊具が重なってしまうと、どうしても奥の方が見えにくくなってしまいます。
それを避けるために、以下の2つの形をおすすめします。
(言葉だけの説明なのでわかりづらくてすみません)
1つは、並行四辺形型。
並行四辺形の四隅に遊具を配置します。
もう1つは、台形型。
台形の四隅に遊具を配置します。
(保護者側を辺の長いほうにします)
ちょっと言葉だけでわかりづらいのですが、園庭など、運動会をやる場所に実際に遊具を置いて確かめてみて下さい。
大切なのは、“地面という低い位置”から保護者は見るということです。
この後、各種遊具やあそびをご紹介しますが、その競技の高さも念のため書いておきますね。
マットの競技(低い位置)
ポイント
安全でかんたん。しかも3歳児ならではのかわいい動きが目立ちます!
マット運動からは2つの動きをご紹介します。
どんぐりころころ(左の絵)
保育者の声かけ
「どんぐりになってころころ転がってみよう」
子どもたちが好きな“どんぐり”に変身して、マットから落ちないように転がって進みます。
「マットから落ちないようにね」などと声をかけて、意識させることも大切です。
転がることがたのしい運動あそびです。
【子どもの動き】
・両手は頭の上でもいいし、胸の前で組むのでもいい
・まっすぐ進むのはけっこう難しく、マットの上下にはみ出していくことが多い
【安全を守る配慮】
・子どもがマットから落ちそうになったら止めて、転がっていく方向を教える
ひざ歩き(右の絵)
保育者の声かけ
「ひざでちょこちょこ歩いてみよう」
ただ走るのではなく、マットの上をひざで歩きます。
歩くといっても子どもたちは楽しくて、それなりのスピードで小走りのようになると思います。
とってもかんたんだけど面白い運動あそびです。
【子どもの動き】
・転んでもマットの上なので安心
・勢いあまってマットの最後で転んだり、マットの外までひざ歩きで行きケガをする
【安全を守る配慮】
・マットの最後で顔から倒れることもあるので意識して見守る
大なわの競技(低い位置)
大なわ渡り
保育者の声かけ
ヘビの道から落ちないようにね!
地面に置いた大なわの上にのり、落ちないように歩きます。
左のイラストは“まっすぐ歩き”。
右のイラストは“カニさん歩き”です。
子どもたちの姿に応じて、どちらか、または両方という選択肢もあるでしょう。
ここで1つだけ注意したいのは、3歳児クラスだと、大なわを気にしないでタッタカと走り抜けてしまう子がいるかもしれない、ということです。
だから、保育者の言葉かけが必要です。
「これはヘビの道だよ」と伝えることで、このあそびへの面白さに子どもを引き込みます。
そして、「落ちないように、そーっと歩いてね」と言って、子どもたちの集中力を高めます。
これは1つの例ですが、子どもたちを“あそび”に誘う魅力的な言葉かけが大切だと思います。
そんな言葉があれば、子どもたちにとってハラハラドキドキするたのしいあそびになります。
【子どもの動き】
・大なわから落ちないようにそーっと歩く
・大なわから落ちないようにするあまり転倒する
・ふざけて大なわの上を走ってしまう
・大なわの上を走ってすべって転ぶ
【安全を守る配慮】
・歩いて渡ることに意識が向くような言葉かけをする
・大なわの上を走る危険性を、見本を見せるなどして伝える
ヘビジャンプ
保育者の言葉かけ
「ヘビに食べられないようにジャンプしてね」
大なわを保育者が持ち、にょろにょろとヘビのように動かしたところを子どもがジャンプ!
なわが足に引っかかって転ぶこともあるので、3歳児クラスでは、大なわを左右に動かのがいいと思います。
とぶ回数は、運動会のサーキットならば“5回”がちょうどいいですね。
行ったり来たりして5回とべば、ちょうどスタート位置とは反対側で終わるので、次に並んでいる子にスムーズに交代できますし。
保育者が「1,2,3,4,5、はい、おしまい」などと数えてあげるのがいいと思います。
“大なわ渡り”と同じく、子どもをその気にさせるために言葉かけがあるとさらにいいです。
わたしはやはり“ヘビ”をつかっています。
「さぁ、ヘビがにょろにょろしてるよ~。かまれないようにジャンプしてね」など伝えています。
子どもがイメージしやすくて、あそびがぐっと楽しくなるものがおすすめです!
【子どもの動き】
・大なわに当たらないように、行ったり来たりしてなわをジャンプする
・大なわに足が引っかかって転ぶ
【安全を守る配慮】
・大なわを左右にゆらす
・大なわをできるだけ低くゆらす
ジャンプでタッチ
保育者の声かけ
「タッチできたら音が鳴るよ」
大なわに鈴入りペットボトルをくっつけて、子どもたちがジャンプして届く高さまで持ち上げます。
子どもたちには走ってきて、ボトルめがけてジャンプ&タッチ!
タッチする楽しさに加えて音も出るから、子どもは夢中になって遊びます。
走っていくのもいいですし、うさぎになって両足ジャンプで進んでいくのもたくさん体を動かせてたのしいですね。
ただ、注意したいのは、音を出すのが楽しくなって1つのペットボトルをずっと叩く子がいるかもしれないことです。
それを避けるためには実際に見本を見せたり、事前に「途中で止まらないでね」などと約束することが大切だと思います。
また、このイラストでは2人が同時にできるように、ペットボトルを2列用意しています。
中には、夢中になって走っているうちに、隣のコースに行ってしまう子もいると予想されます。
ですので、左側のペットボトルを青色、右側のペットボトルを赤色にして、自分が何色のペットボトルを叩くのかはっきりさせることも必要です。
まだまだ小さい子どもたちには、視覚にうったえるのが効果的ですね。
そして、「タッチすると音が鳴るよ」「どんな音が鳴るかね?」「届くかな?」などと声をかけて、子どものやる気をぐ~んと高めてあげてくださいね!
【子どもの動き】
・ペットボトルめざして走り、ジャンプして叩く
・上を気にするあまり転ぶ子もいる
・隣のペットボトルの方に行ってしまい友だちとぶつかる
【安全を守る配慮】
・ペットボトルの色分けをして、子どもがコースを間違わないような工夫をする
フープの競技(低い位置)
グーグーパージャンプ(左側)
保育者の声かけ
「グーグーパーでとぶよ」
フープをケンケンパをするときのように、“1つ・1つ・2つ”の順番で並べます。
*ここでいう“フープ”は厚みのあるものでなく、ひらべったいものを想定しています。厚みがあると足を引っかけて転倒の危険性がありますのでご注意ください。
3歳児クラスの子どもたちにとって、片足で体重を支えるのはまだ発達的にむずかしいですね。
だから、両足を閉じる“グー”と、両足を開く“パー”の2つの動きで前に進みます。
大人から見るとかんたんそうですが、子どもにとっては、足の開閉とともに、前にジャンプすることはけっこうむずかしいことです。
だからまずは、日ごろからその場で足をグーにしたりパーにしたりするあそびを経験させることが必要です。
足の開閉に慣れて初めて、“前に飛ぶ”という動きも加えることができるのです。
【子どもの動き】
・足をグーパーして前に進む
・とんだときに足が引っかかりフープがずれる
【安全を守る配慮】
・グーパーその場とびを経験させておく
・フープは平たいものを選ぶ
・ずれたフープをなおす
ジグザグジャンプ(右側)
メモ
保育者の声かけ
「道を曲がれるかな?」
フープを1列に並べ、途中でジグザグに曲げています。
子どもたちは両足ジャンプで前に進んでいきます。
曲がることを意識できるように、「道が曲がっているね」「曲がれるかな?」などと声かけするといいと思います。
また、両足ジャンプで大切なのは、両ひざがくっついていることです。
両ひざがくっついているからこそ、グラグラしない安定したジャンプができるのです。
運動あそびで最近耳にする【柳沢プログラム】では、“のりをひざにつける”ことをします。
(以前、研修を受けさせてもらったことがあります)
うそっこののりをみんなで出して、ふたを開けて、べと~っとした見えないのりをつけてひざをくっつけます。
「うわぁ~、のりでひざがくっついたね!」などとやってみせると、子どもたちもすっかりその気になっています。
こんな声かけも、子どもが楽しんで体を動かす大事な要素ですね。
【子どもの動き】
・両足をそろえてジャンプする
・時々はみ出しながらも前に進む
【安全を守る配慮】
・ひざをくっつけてとべるように声をかける
・フープは平たいものを選ぶ
・ずれたフープをなおす
フープくぐり
メモ
保育者の声かけ
「フープトンネルをくぐるよ」
保育者が持っているフープをくぐり抜けるあそびです。
最初は走ってくるでしょうが、くぐる時にはスピードは落ち、頭を低くしてくぐることが予想されます。
“体を縮める+歩く”という2つの動きを同時にやるので、3歳児クラスの子どもにとってはほどよい難易度だと思います。
また、このイラストでは保育者がフープを持っていますが、年長児がお手伝いでフープを持つということも考えられます。
その場合は、1人の子どもが1つのフープを持つほうがいいと思います。
園庭の広さなどに応じて、フープやそれを持つ人の人数は調整してください。
【子どもの動き】
・フープめがけて走ってくる
・頭を低くしてフープをくぐる
・フープにつまずいて転ぶ
【安全を守る配慮】
・フープ間の距離をある程度あける
・転びやすい子には「フープに当たらないようにね」などと声かけする
平均台の競技(高い位置)
2本橋の渡り
メモ
保育者の声かけ
「ゆっくり歩いてみよう」
平均台を2台つなげて太い橋をつくります。
高さはありますが、平均台2本の太さはけっこうあり、3歳児クラスの子どもには歩きやすくなっています。
より歩きやすくしたいなら、橋の真ん中に赤色などのビニールテープをはることをおすすめします。
歩きやすいところを目で見える形にしてあげることで、子どもたちは“ここを歩けばいいんだ”とすぐにわかり、安心して歩けることにつながりますね。
なお、この絵にはありませんが、平均台の周囲にはマットをひいて安全を確保してください。
【子どもの動き】
・へっちゃらですいすい歩く
・ドキドキしながら歩く
・バランスを崩して平均台から落ちる
【安全を守る配慮】
・落ちそうになったらすぐに助けられるように側で見守る
・平均台の真ん中に目印としてビニールテープを貼る
2本橋のいぬ渡り
メモ
保育者の声かけ
「犬になって渡ってみよう」
こちらは平均台2本の橋をはいはい(犬)で渡ります。
“はいはい”だと赤ちゃんみたいなので、「“犬”に変身していくよ」などと誘うとよいかと思います。
平均台の上を歩くよりも顔の位置が低くなるので、子どもたちもより安心してできるのではないでしょうか。
立って歩くのとはいはいをするのと、クラスの子どもたちの発達や姿に合わせて変えるといいですね。
なお、同じくこの絵にはありませんが、平均台の周囲にはマットをひいて安全を確保してください。
【子どもの動き】
・へっちゃらですいすい動く
・ドキドキしながら動く
・バランスを崩して平均台から落ちる
【安全を守る配慮】
・落ちそうになったらすぐに助けられるように側で見守る
・平均台の真ん中に目印としてビニールテープを貼る
とび箱の競技(高い位置)
よじのぼりジャンプ
メモ
保育者の声かけ
「とび箱山に登ってみよう!」
最後はとび箱をつかった運動あそびです。
2段、もしくは3段のとび箱によじ登り、上から思い切りジャ~ンプ!
子どもがどのくらいの距離を跳ぶのか考え、しっかりとマットをひいてください。
ジャンプするときに、側で大人が持っているタンバリンにタッチする、という動きもたのしいです。
“跳びながらタッチする”には2つの動きが入っていますが、たのしいことだからすぐにできるようになると思います。
子どもたちの力量に合わせてアレンジしてみてください。
【子どもの動き】
・とび箱によじ登る
・とび箱の上からジャンプする
・よじ登っているときに後ろに落ちる
・よじ登っているときに前に落ちる
・ジャンプの着地をひざなどでしてしまう
【安全を守る配慮】
・落ちそうになったらすぐに助けられるように側で見守る
・ジャンプの着地は足の裏でやるんだよと事前に伝える
まとめ
ここにあげた12のあそびは、ほんの1例です。
これ以外にも、3歳児クラスの運動会のサーキットで、子どもたちにぴったりのあそびがたくさんあると思います。
こんなのもあるんだなと参考にしていただき、みなさんの幼稚園や保育園でたのしい運動会ができたらうれしい限りです。
最後まで読んでくださりありがとうございます!
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