こんなお悩みを解決します。
この記事では、5歳児クラスの保護者会・懇談会を成功させるために、どんなことを話したらいいのかがわかる具体例をまとめました。
16年保育士をやってきて、5歳児クラスは3回担任をしている経験から、コツをまとめました。
- 保育歴16年の保育士
- 0歳から5歳まですべて経験
- 保護者会は50回以上経験
- 保育歴16年の保育士
- 0歳から5歳まですべて経験
- 保護者会は50回以上経験
記事の前半では「5歳児クラスの発達」や「10の姿」についてまとめ、後半では「家庭でできるサポート」や「年長の懇談会でおすすめグループワーク5選」を紹介しています。
「初めての5歳児担任です」「何からやったらいいかわからない」と思っている保育士さんや幼稚園の先生はぜひご覧ください。
5歳児クラスの保護者会で伝える5つのこと
年長クラスの保護者会では、保護者に伝えたい大切な内容が5つあります。
- 5歳児クラスの1年間の保育
- 5歳児の発達と成長
- 就学までに育ってほしい10の姿
- 年間行事予定の説明
- お知らせやお願い
この記事では①〜③について、具体例なども含めて解説していきます。
④〜⑤は園ごとに異なるので、前年度の保護者会資料などをベースに考えてくださいね。
5歳児クラスの1年間の保育を伝える
担任や保護者の自己紹介が終わったあと、1番最初に話すのは「担任の思い」です。
1年間どんな保育を行うのか、子どもたちにどう成長してほしいのか、自分の思いを伝えましょう。
5歳児クラスの保育で大切にしたいポイントを、少し柔らかい表現にすると以下の通りです。
- 子どもの主体性(「やりたい」という気持ち)
- 友だちとの協同的な遊び
- 自分で考える・イメージを広げる
- 意欲的に生活習慣を行う
- 友だちとのやりとりで遊びや生活を進める
- 自然と社会への興味
- 「見る・聞く・考える・話す・想像する」という力
- 1人ひとりの興味から友だちを巻き込んで遊びを広げる
どれも5歳児クラスの子どもたちに育ってほしい姿ですね。
では、どのように保護者に伝えたらいいのか、具体例を挙げます。
例① 子どもの「やりたい」を大切にする保育
「子どもたちが『やってみたい!』と思ったことを大切にし、それを実現するためのサポートをしていきます。
例えば、『お店屋さんごっこをしたい』という声が上がれば、「どんなお店にする?」「ケーキ屋さんにしたいなら、どんなものが必要かな?」などと投げかけて、子どもたちが自分たちで考え、やりたいことを形にできるように手伝っていきます。
また、子どもたちが「やりたい」と思えることをたくさん見つけられるような環境を用意するのも担任の役割です。
季節の絵本や図鑑を定期的に入れ替えたり、自由製作に使える素材や道具をクラスに置いたり、どんな遊びもできるスペースの確保など、環境設定にも力を入れていきます。
「大人のやってほしいこと」をやらせるのではなく、「子どものやりたい」から遊びが広がるように心がけていきますね。
子どもの具体的な遊びや言葉が入ると、楽しそうな姿がイメージできるからわかりやすいですね!
例② 友だちとの協同的な遊びを大切にする保育
友だちとの遊びの中で一緒に考えあったり、工夫しあったりして遊びが広がるように保育します。
自分1人では思いつかないことも、友だちが何人か集まると、お互いに刺激しあって遊びが大きく広がるからです。
例えば、砂場で山をつくっているところに友だちが来ると、「ねぇ、トンネルつくろうよ」「いいね!」「じゃあ、わたしはこっちから掘るから、◯◯ちゃんは向こうから掘ってね」「あっ、トンネルの中で手をつなげたね!」などと遊びがどんどん動いていきます。
友だちと一緒だから楽しめること、経験できることを、保育園の最後の1年で思いっきり遊び込んでいこうと思っています。
また、遊びの中で子どもたちはぐんぐん成長するんです。
言葉のやりとりやイメージの交換、自分の気持ちを伝えること、相手の思いを聞くこと、気持ちの折り合いをつけることなどを経験して、子どもたちがお互いに成長できるようにサポートしていきますね。
「遊びの中で子どもたちは成長する」って、良い言葉ですね。このフレーズをわたしも使います!
例③ 1人ひとりの興味から友だちを巻き込んで遊びを広げる保育
1人ひとりの興味や関心を大切にしながら、それを友だちと共有し、遊びを発展させていく楽しさを感じられるようにしたいと思います。
例えば、虫に興味を持った子が図鑑で調べたり、飼育環境を考えたりしていると、必ずほかの子が「何やってるの?」「おもしろそう、入れて!」と仲間に入ってきます。
担任はその姿を見守りつつ、子どもたちだけでは解決が難しい問題が出てきたら、声をかけたり相談にのったりして、子どもたちの大切な遊びが続くようにサポートします。
さらに、1人ひとりの見つけた楽しさをクラスみんなで共有したいので、朝の集まりのときに「みんなに紹介したいおもしろい遊びってある?」と投げかけたりもします。
虫探しや飼育に夢中になっている子たちはもちろん、他の子もおもしろい遊びのアイディアをたっぷり持っているので、嬉しそうにみんなの前で話してくれるんです。
こうやって、1人の「楽しい」をみんなで味わって、お互いのかかわりや遊びを充実させていきますね!
どの例も子どもの楽しそうな姿がイメージできるから、保護者にも伝わりやすいですね。
子どもと一緒に目指したい保育を、ゆっくりと自信を持って、保護者に説明していってくださいね!
5歳児の発達と成長
5歳児の発達といってもいろいろあるから、何を話したらいいんですかね…。
たしかに、切り口はたくさんあるから、どれをピックアップしたらいいか迷いますよね。
「ポイントになる8つの項目」と「説明の例」を以下にまとめます。
*子どもの発達をわかりやすく説明してくれる、この本を参考にしています。
①主体性:「やりたい!」が行動につながる
5歳児の大きな特徴は、自分でやりたいことを見つけて行動できるようになることです。
- 自分で遊びを考え、友だちを誘って実行する
- 困ったことがあっても、自分なりに解決策を考える
- 「こうしたい!」という思いを、言葉で表現できる
4歳のころは大人の指示を待つことも多かったのに、5歳になると『積み木で大きな街を作ろう!』『みんなでお店屋さんごっこしよう!』など、自分たちで遊びを展開していくんです。
主体性はしっかりと伝えたいです!
②運動機能:複雑な動きができるように
体の動きがより洗練され、難しい動きにも挑戦します。
- 縄跳びで連続して跳べるようになる
- ボール遊びが上手になり、的当てなども楽しめる
- 鉄棒で逆上がりに挑戦する
4歳のころは縄跳びが数回跳べるだけでしたが、5歳になると『10回跳べた!』『後ろ跳びできた!』など、どんどん上達していきますよ。
③人間関係:協力して遊びを進める
友だちとの関係がぐっと深まり、協力して遊ぶ楽しさを知ります。
- 役割分担をして遊びを進められる
- 友だちと話し合って、遊びのルールを決められる
- けんかしても、自分たちで解決しようとする
4歳のころも友だちと一緒に遊びますが、5歳になると『〇〇係は△△くんで、□□係は私がやる!』など役割を決めて遊ぶ姿が出てきます。
遊びへの集中力が増し、やりとりもスムーズになるので、1つの遊びの継続時間も長くなります。
④言葉:会話が豊かに、文字への興味も
言葉の力がぐんと伸び、コミュニケーション力も向上します。
- 経験したことを、順序立てて話せるようになる
- 「どうしてそう思うの?」と、理由を聞けるようになる
- 自分の名前が書けるようになり、文字への興味が高まる
4歳のころは『楽しかった』程度の感想でしたが、5歳になると『最初は〇〇で、それから△△して、最後に□□したの』というように、詳しく説明できるようになりますよ。
文字への興味は個人差があることも伝えた方が良いですね!
そうですね!その上で、「遊びの中で文字の楽しさにも触れていきます」などと話せると保護者も安心ですね。
⑤認知:考える力、想像する力が育つ
物事をより深く理解し、想像する力も豊かになります。
- カレンダーを見て、クラスの予定に見通しを持つ
- 数字への興味が広がる
- 「もし〜だったら」と仮定の話を楽しめる
4歳のころは『明日』『昨日』程度でしたが、5歳になると『来週の月曜日はプール開きだね』など、少し先の予定も理解できるようになります。
⑥生活習慣:責任をもって行動できる
身の回りのことを、自分の役割として捉えられるようになります。
- 当番活動を責任もってこなせる
- 持ち物の管理が上手になる
- 後片付けをうながされなくてもできる
4歳のころにもあった『お手伝いしたい』気持ち。5歳になると『今日は私が給食当番だから、みんなに配らなきゃ』などと、自分の役割を果たしたいという気持ちがぐっと大きくなります。
⑦遊び:より創造的に、より協調的に
遊びがより複雑になり、長く続くようになります。
- ごっこ遊びで、細かい設定まで考えて遊ぶ
- 積み木やブロックで、複雑な建物や街並みをつくる
- 友だちと協力して、劇や音楽会をつくる
4歳のころの『お母さんごっこ』が、5歳になると『赤ちゃんが熱を出したから病院に行く』など、ストーリー性のある遊びに発展していきます。
実際に音楽会などを体験すると、「自分たちでもやりたい」と友だちと一緒に工夫してつくっていけるのも、5歳児クラスの子どもたちのすごいところです。
⑧社会性:集団の中で自分を表現し、協調する力が育つ
年長になると、集団の中での自分の位置づけを理解し、周りと協調しながら行動できるようになってきます。
- 集団のルールを理解し、守ろうとする
- 順番を待つことができる
- みんなで決めたことを尊重しようとする
- クラスの中で自分の役割を果たそうとする
4歳のころは『自分の思い』が中心でしたが、5歳になると『みんなで決めたから』『順番だから待とう』と言えるようになります。
友だちや集団のことも考えて、自分の気持ちをコントロールできるようになっていきます。
就学までに育ってほしい10の姿
「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」も保護者会で話したほうがいいですかね?なんか難しくて…。
たしかに、ちょっと難しいイメージですよね。
保育所保育指針にある「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」はこんな感じでした。
- 健康な心と体
- 自立心
- 協同性
- 道徳性・規範意識の芽生え
- 社会生活との関わり
- 思考力の芽生え
- 自然との関わり・生命尊重
- 数量や図形、標識や文字などへの関心、感覚
- 言葉による伝え合い
- 豊かな感性と表現
これだけ見るとかた〜い感じがしますが、実は、子どもたちの遊びの中には「10の姿」がつまっています。
子どもの遊ぶ姿をタップすると、そこに含まれる「10の姿」が出てきます。
先日、海賊が出てくる絵本の読み聞かせを楽しんだあと、子どもたちが「海賊の船をつくろう!」と段ボールで大きな船を作りだしました。
- 健康な心と体:自分のやりたいことに向かう
- 協同性:友だちと一緒に船をつくる
- 思考力の芽生え:楽しい遊びを生み出す
- 言葉による伝え合い:言葉で友だちを誘う
- 豊かな感性と表現:絵本のイメージから段ボールの船を想像する
『ここは操縦室にしよう』『救命ボートも作ろう』などと、アイディアを出し合いながら、役割を分担して作業を進めていました。
- 自立心:自分の遊びのために考えたり工夫したりする
- 協同性:役割分担を作業を進める
- 思考力の芽生え:アイディアを出し合う
船の形ができあがると、『色をぬったらかっこよくなるんじゃない?』『じゃあ、わたしは「つばめかいぞくだん」って名前を書くね』などとイメージを広げて、カラフルな船を完成させました。
- 文字などへの関心:船に文字を書く
- 豊かな感性と表現:よりステキな船のイメージ、色ぬり
あっ、普段の遊びの中に「10の姿」がありますね!
こんな感じで「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を話すこともできますよ。
日ごろの遊びや生活の中で、就学に向けた力が自然と育まれていることを、ぜひ保護者に伝えていってください。
【補足】家庭でできる子どもへのサポート
「就学に向けて、家庭では何をしたらいいですか?」と保護者に質問されるんですが、どう答えたら良いですかね?
シンプルだけど保護者も子どもも嬉しくなる、3つのアイディアを紹介します。
①「できた!」「できない…」を一緒に味わう
5歳児ともなると日々いろいろなことに夢中になり、多くの挑戦をしています。
- 子どもが挑戦して成功したときは「やったね!」「嬉しいね!」と気持ちに共感する。
- うまくいかなかったときには、「悔しいね」「残念だね」と子どもと一緒になって残念がる。
すると、子どもたちは「お母さんはぼくの気持ち、わかってくれた」「お父さんはわたしのこと、見てくれている」と心が嬉しさで満たされていきます。
おうちでは、子どもが心も身体もほっとできるといいですね。
② 目を見て話を「聴く」
えっ、こんなことでいいんですか?
わたしも2児の親だからわかりますが、毎日忙しすぎて、子どもの話をちゃんと聞くのは難しいんです…。
だからこそ、子どもの目を見て「聴く」ことをおすすめします。
「聴く」というのは「ただ耳で聞く」のではなく、「子どもの気持ちを聴く」ということです。
お風呂の中でも、寝る前の絵本タイムでも、1日10分でいいので「子どもの話を聴く時間」をつくると、子どもたちの心は満たされていきますよ。
③ 生活リズムを整える
これは私も話そうと思ってました!
そうですね、やはり規則正しい生活リズムが土台ですからね。
- 早寝早起き
- 朝ご飯を食べる
- 毎日なるべく同じ生活リズムで過ごす
子どもたちは安定した生活リズムがあればこそ、心も身体も健康に過ごせます。
心と身体にエネルギー満タンになるように、家庭と協力して子どもをサポートしたいですね。
5歳児クラスの懇談会で伝えること
秋や冬にやる保護者会や懇談会では、どんなことを話せばいいんですかね?
年度の途中にやる保護者会などでは、春先に伝えた保育の目標や、子どもたちの発達が「今、どうなっているか?」を話しましょう。
5歳児の発達や保育のポイントを改めてまとめます。
①主体性
②運動機能
③人間関係
④言葉
⑤認知
⑥生活習慣
⑦遊び
⑧社会性
⑨10の姿
春からどう成長したのか、 生活や遊びの具体例とともに話すと、保護者にもわかりやすいですね!
じゃあ、①〜⑨がわかるようなエピソードを、日ごろから集めておくとスムーズですね。
5歳児クラスの懇談会でおすすめのグループワーク5選
懇談会でやるグループワークって、いつも迷うんですよね…。
おまかせください!
5歳児の成長や、保護者の気持ちにスポットライトをあてたグループワークを5つ紹介しますね。
グループワークのやり方
1つのワークで30分ほどかかります。
- 3〜4人のグループに分かれて座る。
- グループごとに模造紙、ポストイット、マジックを用意。
- 思いついたことを、ポストイットにどんどん書き出してもらう。(5分)
- ポストイットは大きな模造紙に貼って、グルーピングしてもらう。
- グループ内でお互いに発表しあって、気づいたことなども共有する。(15分〜20分)
- 最後に、自分のグループで話し合ったことを代表者が発表する(5分)
話が盛り上がっていたら、話し合いの時間を少し増やしても良いですね!
では、5つのグループワークを紹介します。
1. 「わが子の成長ビフォーアフター」
- 入園時や年少のころの思い出を振り返り、現在の姿と比較して子どもの成長に気づくワーク。
- 年度末の懇談会ならば、5歳児クラスになったばかりのころと比較してもOK。
2. 「就学に向けて親子でできること」
- 就学までに家庭でできる準備について、アイデアを出し合います。
- すでにやっていることでも、これからやりたいことでもOKです。
お互いの家庭の情報交換にもなりますね。
3. 「入学への期待と不安」
- 就学に向けての期待や不安を出し合います。
- 子どもの性別やきょうだいの有無など、環境が似ている人を同じグループにすると話しやすくなります。
「不安なのは自分だけじゃないんだ」って、安心できますね。
4. 「子どもに身につけてほしいこと」
- 就学までに子どもに身につけてほしいことをグループで話し合います。
- ほかの家庭の視点を聞くことで、保護者の価値観にも気づくワークです。
5. 「子どもへの感謝の手紙」
最後のワークは「1〜4」と少しだけやり方が変わります。
✔内容
- 我が子の成長を振り返り、子どもへの手紙を書いてもらう。(5分)
- 次に、子どもが自分に手紙を書くとしたらどう書くか想像して、自分への手紙を保護者に書いてもらう。(5分)
✔やり方
- 3〜4人のグループに分かれて座る。
- 親に子どもへの手紙を書いてもらう。
- 子どもから自分への手紙を書いてもらう。
- グループで内容を共有する。
手紙のワークでは、子どものことを想って涙がこぼれる瞬間も…。
これらのグループワークを通じて、保護者同士の交流を深めつつ、子どもの成長や就学に向けての準備などを、より具体的に考える機会にすることができますよ。
まとめ
ここまで5歳児クラスの保護者会、懇談会で伝えたい大切なことをまとめました。
もちろん、年長の担任になった方は、すでに伝えたいことがたくさんあると思います。
その上で、保護者会の資料作りの参考にしてもらえたら嬉しいです。
5歳児担任はやりがいが大きいので大変な面もありますが、保育園の集大成である年長の1年間を子どもたちと過ごせるのは、あなただけです。
保護者会や懇談会で保護者からの応援を受け、楽しい日々を積み上げていってください。
応援しています!
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