まずは結論から!
- 【0〜2歳児クラス】わらべうたで楽しく読める『おにのパンツ』
- 【2〜3歳児クラス】豆まき遊びにつながる『まめまきできるかな』
- 【3〜5歳児クラス】鬼の日常がわかって面白い『せつぶんのひのおにいっか』
- 【4〜5歳児クラス】行事の由来がよくわかる『おばあちゃんのえほうまき』
この記事では以下のお悩みを解決します。
- 節分の由来をわかりやすく伝える絵本を教えてほしい
- 乳児クラスでも読める節分や鬼の絵本を探している
- 「やさしい鬼」や「おもしろい鬼」の話を読み聞かせたい
絵本の内容だけでなく対象年齢や特徴についてもまとめているので、節分の絵本ぱっと探したい保育園や幼稚園の先生向けの記事になっています。
- 保育歴16年の保育士
- 0歳から5歳まですべて経験
- 小さい頃から図書館が大好き
- 保育歴16年の保育士
- 0歳から5歳まですべて経験
- 小さい頃から図書館が大好き
本記事で紹介している絵本が多いので、記事の最後では「絵本の選び方」もまとめています。
1月〜2月にかけて、子どもたちと楽しむ絵本を探している先生方はぜひご覧ください。
節分の由来や豆まきのことがわかる絵本
最初は、行事の由来など節分の基本的なことがわかる絵本を、年齢や対象クラス順にまとめます。
①まめまき できるかな
【年齢】2歳児・3歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】節分で鬼を追い払うために豆をまくことを一番わかりやすく伝えられる
節分の日にお豆をまく練習をするまこちゃんのお話です。
まこちゃんがボールやお手玉を投げて練習したり、「おにはーそと!」と大きな声で言ってうまく投げられる様子が描かれています。
まこちゃんの姿見て、子どもたちも豆を投げる練習を楽しめる内容になっています。
お話の最後には色とりどりの鬼がやってきて、家族みんなで鬼を追い払います。
シンプルなストーリーで、節分には豆まきをして鬼を追い払うことが自然と伝わる1冊。
絵本のサイズは小さいものの、絵がはっきりしているので子どもたちにも見やすく、集中して見ることができます。
保育の中で節分や豆まきのやり方を伝える導入として最適です。
②ちいちゃんとまめまき
【年齢】2歳児・3歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】ほんわかした雰囲気で節分や豆まきに触れられる
もうじき幼稚園に入るちいちゃんと、友だちの犬や猫が幼稚園に遊びに行くお話です。
幼稚園でやっていた節分の豆まきを見て、ちいちゃんたちもまねっこ。お面を作って、お豆の代わりにピーナッツを投げて遊ぶ様子が描かれています。
淡い色合いの素朴でかわいい絵と、人間のように立って歩いて豆を投げる犬や猫たちが愛らしく描かれています。
まめまきや節分のお面づくり、年の数だけ豆を食べることなど、節分にまつわる行事が自然な形で盛り込まれているのが特徴。
また、この本は「ちいちゃんえほん」というシリーズの1冊で、散歩やかくれんぼなどの生活や遊びを題材にしたものや、十五夜や誕生日、おみこしなど行事をテーマにした他の絵本もあります。
年間を通して子どもたちと楽しめる絵本になっていますよ。
③まめまきこびとのおはなし
【年齢】3歳児・4歳児・5歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】こびとと動物たちの可愛らしい交流を通して、節分から立春への季節の移り変わりを感じられる
ちいさな絵本ですが、節分の行事がしっかりと描かれた温かみのある1冊。
こびとが豆を炒るところから物語が始まり、動物たちに配って豆まきをする様子が優しいタッチで表現されています。
ちょっとだけ怖い感じの鬼も登場するので、節分の雰囲気も十分に味わえます。
寒い冬から暖かい春への季節の移ろいを、こびとや動物たちの愛らしい交流を通して自然と感じられる作品になっています。
絵のサイズが控えめなので、5〜6人程度に読み聞かせるのがちょうどよい感じです!
④まめのかぞえうた
【年齢】2歳児・3歳児クラス
【文字量】少ない
【特徴】数え歌で楽しみながら、豆の成長から節分までを学べる
豆に焦点を当てたユニークな絵本で、豆の力強さや生命力を感じられる一冊。
豆が土に埋められ、大きく育って花が咲き、実がなり、乾燥させて豆ができ、鍋で炒って食べるまでの過程が、数え歌の形で描かれています。
最後には節分の夜の豆まきで、年の数だけ豆を食べる子どもたちの姿も登場します。
数え歌なので子どもたちと声を出して繰り返し楽しめるのも、この絵本のおもしろいところです。
豆への興味が高まり、豆まきの活動にも力が入るステキな絵本です!
⑤せつぶんワイワイまめまきの日
【年齢】3歳児・4歳児・5歳児クラス
【文字量】多い
【特徴】節分の行事を総合的に学べる実用的な絵本
ケロポンズのますだゆうこさんによる、保育園の子どもたちの節分の日を描いた絵本。
主人公の男の子が優しい鬼の子に出会い、自分も鬼になるというユニークな展開が特徴です。
おこりんぼうの友たちにはおこりんぼうの鬼がついているという設定も、子どもたちの心に響きますね!
絵本は全体的にカラフルで、印象的な絵柄が目を引きます。
節分の由来やなぜ豆をまくのか、恵方巻きを食べる理由だけでなく、節分の日の料理レシピや、鬼のお面・豆入れの制作方法まで収録されている充実した内容です。
行事の説明や制作の手順をイラストや図解で解説してくれるので、新人さんにも使いやすい1冊です。
⑥おばあちゃんのえほうまき
【年齢】4歳児・5歳児クラス
【文字量】多い
【特徴】節分と日本の伝統文化が美しい木版画で描かれた、味わい深い絵本
「おばあちゃんの行事食シリーズ」の1冊で、節分にまつわるさまざまな内容がつまった絵本。
節分の由来や豆まき、年の数だけ豆を食べること、恵方巻の意味や作り方、いわしの頭やひいらぎを飾る習慣まで、節分に関するあらゆる要素が自然な流れで描かれています。
木版画ですられて色付けされた絵は味わいがあって、七福神やこたつ、枡(ます)、勝手口など、日本の古き良き文化を見ることができます。
特に印象的なのが、「あしたから こよみの うえでは もう はるです」という最後の夜のシーン。
暗い町に浮かぶ家々の明かりや降り出した雪の白さが、真っ暗な中に美しく浮かび上がる様子は、子どもたちの心に染み込むような場面となっています。
このシリーズには他にも、おせちやおはぎ、七草粥、雛ちらしなどの絵本があります。
4・5歳児クラスでは、行事の意味や日本の伝統文化への興味も深まってくる時期なので、おすすめのシリーズになっています。
ほんわかしたお話で鬼が好きになる絵本
こわいイメージの鬼ですが、最近は「やさしい鬼」「よい鬼」をテーマにした絵本も増えています。
子どもたちが安心して楽しめる絵本をご紹介します。
①わらべうたえほん おにのパンツ
【年齢】0歳児・1歳児・2歳児クラス
【文字量】少ない
【特徴】なじみのある歌と見やすい絵で、乳児クラスでも楽しめる
「おにのパンツ」の歌に合わせて読める楽しいわらべうた絵本です。
鬼とともにウサギ、くま、パンダなどの動物たちが登場するので、0歳や1歳児クラスでも読みやすいです!
絵本の色使いも、白い背景に赤、青、ピンク、茶色など、登場人物の色がくっきりと浮かび上がるので、乳児クラスにぴったり。
節分の内容そのものは含まれていませんが、「鬼のパンツ」の歌を通して「鬼」に楽しく触れられます。
歌を通して楽しめるため、2~3歳児クラスまで幅広く活用できるのも嬉しいところです。
「節分=怖い」だけではもったいないので、乳児クラスでは、鬼に親しみを持てるようにすることも大切です。
そのための導入としておすすめの一冊です!
②まめまき!まめまき!
【年齢】2歳児・3歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】優しい鬼との出会いを通して、思いやりの心を育む温かな物語
表紙に描かれた優しい顔でにっこり微笑む赤鬼が印象的な絵本です。
節分の日、赤鬼がやってきてお母さんが豆をまいて追い払い、青鬼がやってきてお父さんが豆をまいて追い払います。
そして子どもの鬼がやってくると、主人公の子どもが豆をまこうとしますが、子どもの鬼は泣き出してしまいます。
みんなは泣いている子どもの鬼をかわいそうに思い、一緒におやつを食べたり遊んだりして仲良くなります。
すると、心配した鬼のお母さんとお父さんがやってきて、最後はみんなで笑顔で「福は内」と豆まきをする、ほっこりとした結末を迎えます。
「今年の鬼は優しい鬼でした」という言葉で絵本はおわります。子どもたちも「優しい鬼もいるんだな〜!」とびっくりでしょうね!
鬼を怖がる子どもが多いクラスや、穏やかに節分を過ごしたいと考えている保育士さんにぴったりの1冊です。
③おにはそと
【年齢】2歳児・3歳児・4歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】ユーモアと優しさにあふれた、子どもが鬼と仲良くなる物語
節分で子どもたちが豆まきをしていると、豆をもぐもぐ食べているかわいい鬼の子どもが登場します。
子どもたちは鬼の子どもと出会い、一緒に鬼ごっこをして遊びます。
そうとは知らない鬼たちは、子どもの鬼が人間に捕まってしまったと勘違いして大騒ぎに。
鬼の親分は金棒をとかして作った鎧を身に着けて、人間たちのところにいざ出発!
子どもたちが鎧を着た鬼に豆を投げると「かんかん かんかん」と豆がぶつかる音がして、他の絵本では見られないユニークな場面に、子どもたちも面白がること間違いなしです。
最後は鬼の勘違いがわかって、みんなで仲良くなる温かなエンディングを迎えます。
怖い鬼だけでなく、優しい鬼やかわいい鬼もいることを伝えられる素敵な絵本です。
豆まきを怖がる子どもにも安心して読み聞かせできますよ。
④せつぶんのひのおにいっか
【年齢】3歳児・4歳児・5歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】鬼の視点から描かれた日常生活と節分の様子が楽しい
人間の家に暮らす鬼の一家のお話です。
鬼たちは人間には見えないのですが、朝ご飯を食べたり髪をとかすなど、人間のように暮らしている姿がなんともおもしろいのです。
鬼の視点で日々の生活が描かれますが、節分の前日になるとなにやら準備を始める鬼のお父さんとお母さん。
節分の日に「鬼は外」と豆をまかれると、鬼たちはその日だけは屋根の上に逃げて1日を過ごします。
どの家の屋根にも鬼たちがいて、ちょっと寒いけど夜を楽しく過ごすシーンは、見ている子どもたちもほっこりとした気持ちになります。
節分の翌日のラストのシーンでは、梅の花が咲いて春が近づいている様子も描かれ、節分が季節の変わり目であることも自然と伝わってきます。
カラフルで親しみやすい絵なので、最後まで楽しく読めるおすすめの1冊です!
⑤おにはうち ふくはそと
【年齢】4歳児・5歳児クラス
【文字量】多い
【特徴】日本の昔話の形式で、人情と優しさがじんわりと伝わる温かな物語
ひどい貧乏暮らしの夫婦が主人公の日本の昔話です。
節分の夜、豆もないので声だけで豆まきをすることに。ところが男が「鬼は内、福は外」と言い間違えてしまいます。
それを聞いた赤鬼と青鬼は喜んで家に飛び込んできて、一晩泊めてほしいと頼みます。
食べ物がないと言う夫婦に、鬼はふんどしをくれます。
それを米屋に持って行くと、たくさんのお米と交換できました。お米や野菜、魚を買って鬼をもてなすうちに、怖さもなくなり仲良くなっていきます。
帰り際、鬼たちは「余った米は売って、そのお金で働いてくれ」「鬼だって、一軒の家ぐらいは幸せにできる力があるぞ」と言い残していきました。
昔話によくある素朴で味わい深いイラストと共に、鬼と人間の優しさがしんみりと伝わってくる素敵なお話です。
年長さんには、人情話として深い学びにもつながります。
⑥あかたろうの1・2・3の3・4・5
【年齢】2歳児・3歳児・4歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】鬼の親子の日常生活を通して、数遊びも楽しめる温かな物語
鬼の赤太郎が外から帰ってくると、お母さんがいません。
家中探してもいないので、お母さんがいそうなところに電話をかけていきます。
昔ながらのダイヤルを回す黒電話が登場するので、子どもたちは「?」と思うかもしれません。
リズミカルな文章の中に電話番号の数字がくり返し出てきたり、最後にお母さんが買ってきたものの数を当てたりするなど、数遊びの要素も含まれています。
節分の話ではありませんが、かわいい鬼が登場する絵本。
親子の優しいやり取りを通して、数への興味も自然に引き出せる工夫がつまっています。
読み聞かせ後に、電話ごっこやお買い物ごっこ、おままごとなど、さまざまな遊びに展開できるのでおすすめです!
⑦おにはうち
【年齢】3歳児・4歳児・5歳児クラス
【文字量】少ない
【特徴】保育園を舞台に、やさしい鬼の存在を感じられる温かな物語
保育園の子どもたちと先生が外で遊んでいると、帽子をかぶって正体を隠した「にお」という鬼の子どもが現れます。
におくんといっしょに野球をして遊んでいると、保育園では節分の豆まきをすることに。
すると「にお」くんはどこかへ消えてしまいます。
節分の由来が簡単に説明された後、みんなで豆まきをする場面で、園長先生が「おにはーそと」「いい、おにはーうち!」と言って豆を投げます。
不思議がる子どもたちに「きっと良いオニはいると思います」と園長先生。
そこにまた「にお」くんが現れ、みんなで野球を楽しみ始めます。
文字は少なめですが、やわらかい雰囲気とシンプルな絵で、「良いオニもいるかもしれない」という気持ちが自然と芽生えるステキな絵本です。
思わず笑ってしまう、もう1回読みたくなる節分や鬼の話
子どもたちの笑いを引き出しながら、節分や鬼の楽しさを伝えられる絵本を紹介します。
ユーモアたっぷりのストーリーで、何度読んでも飽きない絵本ばかりです。
①おふくさん
【年齢】2歳児・3歳児・4歳児・5歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】福の神・おふくさんが主役の、笑いと温かさにあふれた珍しい絵本
どのページを開いても、ふっくらニコニコのおふくさんたちが登場する、節分らしさとユーモアが見事にミックスされた福々しい絵本です。
山の奥深くに大勢で暮らすおふくさんたちのところに、怖い顔をした鬼がやってきます。
しかし、おふくさんたちは怖がるどころか、鬼を笑わそうとあの手この手で工夫を凝らします。
最後はおふくさんと鬼のにらめっこ勝負。
おふくさんの表情が3段階で変化していく様子は、見ている子どもたちも大爆笑間違いなしのシーンです。
怖い顔をしていた鬼も最後は優しい顔で笑顔になり、「笑う門には福来たる」という言葉で絵本は終わります。
節分の絵本は鬼が主役のものが多い中、福の神を主役にした珍しい展開が新鮮!
笑いを通して福を呼び込むという日本の伝統的な考え方も、自然と伝わるとってもステキな絵本です。
②オニのきもだめし
【年齢】3歳児・4歳児・5歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】大阪弁を話すゆかいな鬼たちの、笑いがとまらないきもだめし物語
電車に乗り遅れた2匹の赤鬼が大阪弁でしゃべりながら、夜道を「怖い怖い」と歩くユニークな展開。
強くて怖いはずの鬼が、人魂や幽霊に出会うたびに「ひゃーひゃー」と怖がる様子は、子どもたちの予想を裏切る面白さがあります。
お化けや妖怪もたくさん登場し、最後にはしっかりとしたオチもある充実した内容です。
まるで大阪のお笑いの世界からやってきたような2匹の愉快な鬼に、子どもたちは夢中になること間違いありません。
節分とは関係のない内容ですが、ここまで笑える鬼のおもしろい絵本は珍しいので、ぜひ子どもたちと楽しんでほしいです!
③まめまきバス
【年齢】3歳児・4歳児・5歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】しゃべるバスとねずみたちの奇想天外な豆まき物語
主役はしゃべるバスとネズミたちという珍しい組み合わせ。
怪獣鬼がやってきて町のネズミたちを風邪オニにしてしまいます。
バスとネズミたちは手洗い、うがい、マスクをして豆を持って立ち向かうという、独創的なストーリー。
予想のつかない展開に、子どもたちはワクワクドキドキしながら夢中になります。
豆まきや豆を食べることのパワーがストーリーを通して伝わり、最後は巨大な恵方巻が登場して節分らしく締めくくられます。(ここまで書いても、やっぱりヘンテコな物語ですね笑)
目を引く独特の色使いと、かわいいネズミたちのイラストも特徴的。
手洗いやうがいなど、健康的な習慣も自然と盛り込まれているので、保健指導にもつながるおもしろい絵本です。
④ふくはうち おにもうち
【年齢】3歳児・4歳児・5歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】濃厚な絵柄と温かい物語が印象的な、ちょっと変わった節分絵本
一目見ると忘れられない濃厚な絵柄が特徴的です。
出てくる鬼たちは三つ目や豚鼻など普通の鬼とは少し違いますが、どこか愛らしさがあり、決して怖くない存在として描かれています。
鬼が家に来るストーリは時々ありますが、寒さを心配して家にあげてくれて、一緒にお酒を飲んでどんちゃんする展開は珍しい!笑
優しい男は鬼と踊っているけど、奥さんや子どもたちは「福の神が来なくなるからやめてー」と嫌がります。
それでも男はかまわずどんちゃん大騒ぎ。
するとそのにぎやかな様子に誘われて福の神までもが家の中に入ってきて、最後はみんなで楽しく踊り明かすという、ちょっとほかにはないおもしろい展開になります。
絵に力強い生命力を感じられ、男や鬼、福の神たちが楽しそうに踊る様子は、見ている子どもたちの心もウキウキするほどです。
「鬼は外」が当たり前の節分に、新しい視点を提供してくれる絵本ですよ。
⑤オニのサラリーマン
【年齢】4歳児・5歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】現代社会をパロディ化した斬新な設定で、リアルな鬼やおばけの絵が魅力的
じごくカンパニーに勤めるオニのサラリーマン、オニガワラ・ケン。
スーツを着て満員バスに乗り、地獄に出勤する姿は、人間世界のサラリーマンそのもの。
えんまさまから血の池地獄の仕事を任されるなど、ヘンテコでおかしな世界が広がっています。
色とりどりの鬼だけでなく、のっぺらぼうや三つ目、天狗など、様々な妖怪、幽霊、化け物たちが所狭しと登場し、日常生活を送る様子にはいたるところに発見があります。
4歳児、5歳児ならば、ちょっとドキドキしながらも、お化けたちの様子を丹念に見て、面白さをどんどん発見していける内容です。
節分から少し離れる内容ですが、鬼の新たな世界をのぞいて楽しめる斬新な1冊ですね!
オニが登場する日本の昔話を楽しむ
日本の昔話に登場する鬼たちには、それぞれ異なる表情があります。怖い存在としての鬼や知恵比べをする鬼、そして心優しい鬼。
子どもたちと一緒にじっくりと味わいたい物語をご紹介します。
①だいくとおにろく
【年齢】4歳児・5歳児クラス
【文字量】ふつう
【特徴】発表会の題材にもなる日本の代表的な昔話
流れの速い大きな川に、どんな橋もかけられずに困っていた村人たち。名高い大工に仕事を頼みますが、さすがの大工も水の流れが速すぎてなかなか難しい。
それを見ていた鬼は、あっという間に立派な橋を作りますが、その代わりに大工の目玉が欲しいと言い出します。
大工は恐ろしくて山に逃げていくと、「はやく おにろくぁ めだまぁ、もってこばぁ ええ なあ」という子守唄が聞こえてきて…。
目玉を取るという怖い鬼にドキドキしながらも、大工がどう切り抜けるのか、名前を言ったらどうなるのかと、子どもたちは最後まで興味を持って聞いてくれます。
みなさんも『だいくとおにろく』を、子どものときに読んでもらった記憶があるかもしれません。
昔から読みつがれているこの物語を、ぜひ今の子どもたちにも読んでもらえたら嬉しいです!
②泣いた赤おに
【年齢】4歳児・5歳児クラス
【文字量】多い
【特徴】友情の尊さと切なさを感じられる心温まる物語
「鬼に生まれたけれども、良いことをしたい。人間と仲良く暮らしたい」という優しい気持ちを持つ赤鬼。
しかし、人間たちは鬼を怖がって近づいてきません。
そんなとき、親友の青鬼が「自分が暴れるから、赤鬼はぼくをやっつければ信用してもらえる」と提案します。
計画は成功し、赤鬼は人間たちと仲良くなれましたが、それからは青鬼に会えなくなってしまいます。
青鬼の家を訪ねると「ぼくと仲良くすると人間に疑われるから、旅に出る」という書き置きが…。
文字数も多く、物語にも深みがあるので、人の気持ちを考えられる4~5歳児クラスで読むのがぴったりの一冊。
友だちのために遠く離れることを選んだ青鬼の気持ちや、友だちに会えない赤鬼の思いを想像すると、大人も子どもも心に染みる物語ですね。
節分の絵本の選び方
20冊も紹介しているので「どれを選んだらいいかわかりませ〜ん」という方もいるかもしれません。
選び方の例をちょっと解説します!
例えば、鬼が怖い子が多いクラスでは、最初から怖い鬼が出てくる絵本を読むのではなく、『まめまき!まめまき!』や『おにはそと』のような、優しい鬼が登場する絵本から始めてみましょう。
また、日程に合わせた読み聞かせの工夫もおすすめです。
✅ 乳児クラスの読み聞かせ例
- 1週間前:『わらべうたえほん おにのパンツ』で鬼に親しみを持つ
- 3日前:『まめまきできるかな』で豆まきのイメージを作る(2歳児クラス)
✅ 幼児クラスの読み聞かせ例
- 2週間前:『まめのかぞえうた』で豆の成長や力を知る
- 1週間前:『おばあちゃんのえほうまき』で節分行事への理解を深める
- 節分当日:『せつぶんのひのおにいっか』で鬼の視点から楽しむ
このように、さまざまなタイプの「節分・鬼の絵本」を読むことで、子どもたちはいろいろな角度から節分を感じたり、考えることができます。
節分という行事も、「怖い鬼を追い払う日」だけでなく、「優しい鬼もいるかもしれない」「福を呼び込む楽しい日」など、幅広い理解にもつながっていきますね!
【まとめ】
節分や鬼にまつわる絵本を、年齢や目的に合わせて紹介してきました。
豆まきの意味や節分の由来を伝える絵本から、優しい鬼との出会いやゲラゲラ笑ってしまう絵本まで、たくさんの絵本がありました。
保育園にある絵本から選ぶのも良いですが、図書館で借りたり、「これは!」と思うものを保育用に購入すると、節分の時期の保育がもっと楽しくなります。
先生方の思いやねらいが込められた活動を、子どもたちは楽しみに待っていますね!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
これからも、保育の現場で役立つ絵本の情報を発信していきま〜す。
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