
おすすめを知りたいです。」
こういった疑問にお答えします。
✅ 本記事の内容
✅ 記事を書いているかもねぎはこんな人
● 保育士歴15年の主任保育士(2児の子持ち)
● 子どものころから図書館にかよっていた絵本好き
● 乳児クラス6年、幼児クラス6年、フリー3年を経験
こんな感じです。
自分が読んできた絵本、そして、保育園や自分の子どもに読んできた絵本、数えると数百冊でしょうか。

この記事の1番のねらいは、みなさんが目当ての絵本を最短で見つけることです。
ですので、絵本の内容やタイプ、対象年齢、文字量など、保育のどの場面でつかえるのか?ということが一目でわかるようにしました。
そのため絵本のネタバレになっている部分もありますが、ご了承ください。

✅ 絵本の紹介項目について
【年齢】読み聞かせに適していると思われる年齢
【文字量】文字の量の多さ(少ないーふつうー多い)
【保育の視点】絵本の読み聞かせから保育につながること
では、早速スタートしましょう!
*著作権の都合上、絵本の購入サイトにつながる画像をつかっています。
知らない本をいきなり購入するのもハードルが高いので、ぜひ図書館をご利用ください。
*保護者支援・対応の本をまとめた記事ができました。
全9冊をランキング形式で紹介しているので、保護者対応でお悩みの方はぜひご覧ください。
友だちになりたくなるカワイイおばけ絵本
ばけばけばけばけ ばけたくん(おばけ×食べ物×変身×シンプル×カラフル×人気)
メモ
ポイント
【年齢】1歳から
【文字量】少ない
【保育の視点】なにかをたべて変身するごっこあそびが楽しめる(想像力も高まる)
内容をさくっというと、【おばけのばけたくんがおいしいものをつまみ食いすると、体がたべたものの色や形になっちゃう】というお話。

おもしろさのポイントは2つあります。
1つは【変身】。かんたんにまとめるとこんな感じです。
① ばけたくんの白い体がカラフルに変身する
・ペロペロキャンディの模様になったり、つぶつぶのあるまっかなイチゴの色になったり、あたまからキノコがはえたりと、ページをめくるごとに大変身する。
・色だけじゃなく形も変わる。そのバリエーションが豊富でおもしろいので、子どもたちは「こんどはどんなふうに変わるのかな?」とワクワクドキドキする。
② 変身してもその前の要素がちょっと残ってるのが子どものツボ
・「あっ、手としっぽだけまだイチゴだ!」「ふふっ、しっぽにキノコが残ってるね」などと、子どもが“おもしろいものをみつけたぞ”と発見をたのしめる。
③ 【たべる】→【変身】がくりかえされる
・子どもはくりかえしが大好き!(先の予測がたのしい)
シンプルだけど先が気になる展開と、
色や形が視覚にダイレクトに飛びこんでくるこの絵本は、
1歳児クラスからバッチリたのしめます。

だからこの本、子どもに大人気なのです!
わが家の年長の息子も、この記事をわたしが書いているときに『ばけたくん』を手に取り、「これおもしろいよね~」と読みなおしていました。
ここまで年齢を問わずにたのしめる絵本って貴重ですよね。
この絵本を魅力的にしているもう1つのポイントは、【色のきれいさ】です。
カラフルなペロペロキャンディーやイチゴの赤、色とりどりのキノコ、オレンジのスパゲティ、そして、緑のメロンソーダ。

子どもに色のきれいさやたのしさを肌で感じてもらえる1冊ですよ。
おばけのやだもん(おばけ×おばけになっちゃう×やだやだ期×身近な生活×おばけと友だち)
メモ
ポイント
【年齢】3歳から
【文字量】ふつう
【保育の視点】“やだもんごっこ”をすることで、子どもとたのしくやだやだ期をすごせる
おばけの“やだもん”は、
「やだやだ」いっている子がいると、べろーんとなめておばけにしてしまいます。
そして、おばけになった子は“やだもん”そっくりになって、仲間を増やしに子どもを探しに行くのです。

でも、1つだけちがうのは、 おばけになることがたのしそうなのです。
おばけになると、
「わぁ~、おばけになっちゃったよ。やだよー」ではなく、
「ふっふっふ、ぼくはおばけだぞ~。どこかにやだやだいう子はいないかな?」というおばけの思考になるっぽいのです。
顔が“やだもん”そっくりになって、ニヤッと笑っているのがその証拠です。
これを読んだら、子どもたちはきっと“やだもんごっこ”をしたくなります。
担任が「ぼくは“やだもん”だよ~。どこかにやだやだいう子はいないかなぁ?」などと投げかければ、
「あ~、いやだなぁ~」などと、子どもはまちがいなく乗ってきます。
やだやだいう → なめられる → おばけになる → 子どもを探す
というごっこあそびの流れが、子どもたちのなかにパッと入っているので、すぐにあそべちゃいますよね。
しかも、この絵本。
話の後半で、やだもんのことをさらに好きになってしまう展開がまっているのです。
ざっくりとまとめるとこんな感じ。
・ある女の子がおばけになりたくないので、「やだやだ」いうのをやめていい子になりました。
・すると、“やだもん”はおばけパワーがなくなって小さくなってしまいます。
・それまでイヤがっていた女の子は急に“やだもん”がかわいそうになって、やさしくギュッとだきしめます。
そんなシーンでの言葉。
さっちゃんは、やだもんが かわいそうになって ママが やってくれるみたいに
やさしく ぎゅ~っと したよ
『おばけのやだもん』著・ひらのゆきこ
それまでの“やだやだ話”や“おばけ変身話”から、“心あたたまる話”に切り替わる瞬間です。
特に“ママがやってくれるみたいに”というフレーズが、見ている子どもたちの心に刺さります。

そして、その後のおばけと友だちになるシーンに嬉しさを感じ、子どもたちは“やだもん”のことが大好きになります。
2歳児や3歳児クラスでは、「着替えがやだ」「トイレはやだ」ということが毎日ありますよえね。
そんなときに、
「おっ、こんなところにやだやだいう子がいたぞ!うれしいなぁ」
「ぼくがぺろりとなめておばけの仲間にしてあげよう」などと声をかけてみてください。

カババスえん おばけとえんそく(おばけ×バス×幼稚園×どうぶつ×友だち×遠足)
メモ
ポイント
【年齢】3歳から
【文字量】ふつう
【保育の視点】“おばけ”と“えんそく”という2つのテーマが子どもをわくわくさせる
“遠足”というだけで子どもたちはたのしいのに、そこに“おばけ”が加わるものだから、わくわくはぐっと高まります。
ストーリーを簡単にまとめると、“カババスえん”はバスの幼稚園で、運転手はカバ園長。
うさぎやたぬきの子どもたちをバスに乗せて、遠足に出かけます。
その途中でおばけたちと出会い友だちになり一緒に遠足を楽しむ、という王道的な内容です。
この絵本で子どもたちの興味をひくのが、おばけたちの特技です。
・ 一つ目小僧 → 目玉を光らせてバスの行く道を照らす
・ からかさ小僧 → バスの上で回転して、ヘリコプターのようにバスを飛ばす
・ ゆきおんな → 涼しい息を吹きかけてバスのクーラー役
・ ろくろっくび → 自分の首を大なわにして子どもたちを楽しませる
「わぁ、おばけってこんなことできるんだ!」という驚きと共に、
「ちょっとこわいかも…」と思っていたおばけと仲良くなれる展開は、子どもたちにとって嬉しいシーンです。

おばけとモモちゃん(おばけ×おばけを買う×ちいさいモモちゃんシリーズ)
メモ
ポイント
【年齢】3歳から
【文字量】ふつう
【保育の視点】おばけやさんごっこ、かいものごっこがしたくなる内容
1964年に出版された絵本の新装版で、『ちいさいモモちゃん』シリーズの1冊となります。
あらすじをかんたんに書くとこんな感じです。
ちいさなモモちゃんはTVで見たおばけがほしくなり、10円玉をにぎりしめておばけを買いに行くというストーリー。
おもちゃやさんでもどうぶつやさんでもおばけは売っておらず、着いたところは“おばけやさん”。
モモちゃんは本物のおばけに怖がることなく、おばけさえも困ってしまうほど。
とうとうモモちゃんはお気に入りのおばけを見つけて、10円玉で買ってしまうのです。

でも、50年以上読み継がれているには理由があります。
それは、この絵本には【子ども心】がたくさんつまっているからです。
・「おばけを買いたい」というおもしろさ。
・「おばけやさんなんてあるの!?」というおもしろさ。
・「おばけなんて怖くなくて、逆におばけが困ってしまう」というおもしろさ。
この絵本を読むと子どもたちは【おばけやさんごっこ】【おみせやさんごっこ】に興味がでます。
「いらっしゃーい、おばけやさんですよ~」などとあなたが声をかければ、子どもたちはすぐにモモちゃんになって【ごっこの世界】に飛び込んできますよ。
ぜひ、子どもたちとたのしんでみてください!

「あっ、これは怖そう」と子どもがわくわくするおばけの絵本

そんな子どもたちがたのしめる絵本をご紹介します。
鬼のかいぎ(妖怪×昔話×インパクトのある絵×自然を大切にする心を養う)
メモ
ポイント
【年齢】5歳から
【文字量】多い
【保育の視点】「自然を守りたい」という気持ちを子ども自身で発見できる

テーマがむずかしく聞こるかもですが、子どもたちは【妖怪話】にワクワクドキドキするなかで、「自然を大事にしたい」とおのずと感じられる内容になっています。
やや長いのですが、昔話のように語られるストーリーと、怖さの中にもかわいさがある妖怪たちのおかげで、わたしの年長クラスの子どもたちもよ~く集中して見ていました。
内容はこんな感じ。
・平安時代と思われるころ、人間たちは木を切るなど自然を破壊していた
・それに怒った百鬼(妖怪)たちは様々な手段で訴えるが、人間たちにはその声が届かない
・人間と争うのではなく、何百年何千年かかろうとも、人間にわかってもらおうと訴えつづけることを百鬼は選ぶ
・ようやく人間も気づき、切ってしまった木の魂をなぐさめるお払いをする
そして、話は一気に現代へ!
・こりない人間はまた自然を破壊している
・百鬼は今でも人間に訴えているが、いつまで百鬼は我慢をしてくれるのでしょうか?
このラストが『鬼のかいぎ』の最大の特徴です。
「人間は木を切って、水を汚してよくないなぁ」
「百鬼がかわいそうだなぁ」
「最後はちゃんと人間が謝ってよかった」
などと、絵本の中のことと思って見ていた子どもたちの胸元に、
「いいえ、これは絵本の中のことではないのですよ!あなたたちの今の話なのですよ!」と百鬼が訴えてくるのです。

そして、物語を通して木や水の大切さや百鬼の一生懸命さがわかった子どもたちは、“じゃあどうしたらいいのかな”と考えることができるのです。
わたしのクラスの年長の子どもたちは「木を大事にしようよ」と声をあげました。
そこで「みんなのまわりに木はどこにある?」とわたしが投げかけると、
「あっ、ぼくたちのイスは木でできてるよ!」
「おはしも木だよね」
「紙も木でできてるって聞いたことがある」などと意見が出ました。
「じゃあ、どうしたら木を大事にできるかな?」と聞くと、
「裏にも描く」
「ポイって捨てない」
「いっぱい描く」
などと子どもたちみんなで考える活動につながりました。
これはわたしのクラスの1例ですが、子どもたちと身近な環境保護について話し合うことができました。

おばけおばけおばけ(おばけ×子ども×いたずら×家の中×留守番×モノのおばけ)
メモ
ポイント
【年齢】4歳から
【文字量】少ない
【保育の視点】
・怖さとおもしろさの絶妙なバランス
・“もっと怖いの読みたい”いう子どもたちの気持ちを満たしてくれる
非常にシンプルな絵本です。
文字も少ないので、テンポよくページは進んでいきます。
内容はというと、こんな感じ。
お母さんは出かけて、お父さんは昼寝中。
今がチャンスと、留守番中の男の子はティッシュをムダに出したり、冷蔵庫をあけたりといたずらばかりしています。
すると、ティッシュや冷蔵庫などがおばけに変身して子どもを驚かせる…という繰り返しの内容です。
この絵本の最大の特徴は“絵”です。
けっこう怖さもある絵なのですが、可愛げもあってユーモラスなおばけも出てきます。
そんなおばけが1ページごとにわんさか登場。

おはしやスプーン、フォークがおばけになったり、冷蔵庫の中身全部がおばけになったり、しょうじの穴から100個くらい目が出てきたり…。
おばけのオンパレードに、子どもたちは「次はいったい何が出てくるのかな?」とドキドキワクワクして目が離せなくなるのです。
そして、物語のラスト、ようやくお母さんが帰ってきます。
見ている子どもたちもホッとする瞬間でしょう…。
しかし、ここでまさかのおばけが登場!
大人にとってはどこかで見たことのあるラストですが、子どもたちにとっては衝撃的だと思います。
年長クラスで読んだときは、このラストに水を打ったような静けさになってしまいました。

「もっと怖いのが読みたい!」と強がれる4歳くらいからおすすめの絵本ですよ。
ぞくぞくぞぞぞ(化け物×江戸×本物×擬音×絵巻物)
メモ
ポイント
【年齢】4歳から
【文字量】少ない
【保育の視点】江戸時代の絵巻物という“本物”を、絵本という形で、感受性豊かな子どもたちに見せることができる
この絵本は、江戸時代の絵巻物『化物絵巻』(作・狩野宗信)から化け物の絵を抜き出して作られています。
・ ストーリーは特にない
・ 江戸時代の絵師の本物の絵で、キツネやタヌキから、ぞっとするような化け物まで描かれている
・ “ぞくぞく”や“ぞぞぞ”、“かさこそ”などの擬音が絵にあてられ、日本の昔話のようなどこか不可思議な世界、どこかぞっとするような世界が広がっている

子どもはむずかしいことや複雑なことは得意ではありませんが、ものごとの本質をパッとつかむのは得意です。
そんな子どもたちが、江戸の絵師が技術の限りを尽くして描いたこの絵を見ると、いったいどのように感じるでしょうか?

絵本としては色や絵に派手さはなく、繊細でシンプルな内容。
だから、子どもが絵をじっくりと見られる環境で読み聞かせるのがベストです。
ちなみに、あの妖怪博士・水木しげる氏が推薦しているという筋金入りの本で、本物づくしの1冊となっています。
妖怪好きな人におすすめです!
火 あやかし(山の気配×あやかし×妖怪×時代物)
ポイント
【年齢】4歳から
【文字量】ふつう
【保育の視点】
・あっという間に物語の中に吸い込まれ、暗くあやしい山の気配を肌に感じる絵本
・「怖い本が見たい」という4・5歳児むき
やや大きいサイズの表紙の中で燃える大きな炎。そして、『火 あやかし』というタイトル。

表紙をめくるとその裏に、
ー昔から人は山に入るとよくあやしいものに出会ったというー
出典:『火 あやかし』著・飯野和好
と書いてあり、妖怪好きなわたしは「おぉ、これはあやしいぞ。ちょっと怖い感じもしておもしろそう!」とページを進めます。
ストーリーはこんな感じ。
・ 登場人物は2人の兄弟
・ 舞台は京の都から丹後へ向かう夜の山道で、江戸時代あたりのこと
・ 兄弟が夜の山道を歩いているとだれかが残したたき火を発見
・ 火をおこして休んでいるうちに、うつらうつらしていると、山に住んでいるあやしげな気配がぬわぬわと近づいてくる
この絵本の最大の特徴は、山のあやかしたちの気味の悪さと不気味さです。
大人でも思わずぞっとしてしまうほどで、以前読んだ漫画『ベルセルク』の敵を思い出しました。(わからなかったらすみません)
絵本に出てくるあやかしは昆虫がベースになっているのですが、そこに山の瘴気が加わったのか、巨大化+怖さが虫に加わっています。

「ひえぇ~」と思いながらも、「だからこの絵本はこの大きさなんだ」と妙に納得。
大人でも圧倒されてしまうので、子どもにとってはなおさらですよね。
読み終わると作者のあとがきがありました。
作者は秩父の山奥で育ち、半酪半農+炭焼きの暮らしで、囲炉裏(いろり)や竈(かまど)などをつかって暮らしていたそうです。
燃料となる薪(まき)を取りにいくのは子どもの仕事で、山によく入っていたそうです。
だからこの絵本からは山の気配がするのだなと、またしても納得しました。

それがこの『火 あやかし』なのでした。
ぜひ、ご一読をおすすめします。
おんみょうじ 鬼のおっぺけぽー(妖怪×百鬼夜行×擬音×陰陽師×平安時代)
ポイント
【年齢】4歳から
【文字量】ふつう
【保育の視点】
・いっけん怖くなさそうだけど、実はじんわり怖くなる平安時代の昔ばなし
・日本、和風、妖怪というイメージを子どもと共有できる
“おんみょうじ”というタイトルで、作者はあの夢枕獏さん。(絵は大島妙子さん)
わたしはこの絵本を見た時、「あぁ、陰陽師の人か。絵本も出してるんだなぁ、へぇ~」と思っただけで、すぐには手が出ませんでした。

しかし、他に類を見ないタイトルが気になってしまい、本棚から絵本を取り出し表紙を見てみました。
すると、おそらく陰陽師・安倍晴明であろう白い顔をした子どものドアップと、これまた何とも言えない妖怪たちの絵に心をつかまれ、ページを開くことになりました。
ストーリーはこんな感じ。
・ 子どもの陰陽師である“安倍晴明”が牛車をひいて夜中の平安京を歩いていると、鬼のむれがやってきて食われそうになる
・ 晴明やそのお師匠さんが不思議な術をつかって鬼たちを退治する
この絵本の1番の特徴は、鬼たちの怖さです。
絵だけ見るとおどろおどろしいわけでもなく、特別怖いわけではありません。
むしろ、これはほめ言葉としてあえて書きますが、子どもの落書きのような鬼がたくさんでてきます。

それは、この鬼たちが、とぼけた顔や半笑いの顔、変な顔、落書きのような顔をしながら、人を喰うために夜中歩き回っているからだと思います。
それも、「おっぺけぽー」や「のっぺけぽー」などと、力の抜けるような言葉を発しながら…。
作中では、鳴き声を上げてしまった牛が鬼たちに食われてしまいます。
怖いような怖くないような何とも言えない鬼たちが、牛にむらがってがりがりむしゃむしゃ食べるシーン。
昔ばなしに出てくるような絵で表現されているからか、残酷さのようなものはないように感じます。
ただ、じんわりと怖さが広がります。
「鬼たちは落書きみたいな顔して、どこかかわいらしさもあるのに、やっぱり食べるんだ…」と。
そして、その鬼たちが安倍晴明たちを探してかぎまわると、やはり怖い!
大人でもこのように感じるので、感受性の強い子どもたちはさらに怖く感じるように思います。

おろろん おろろん(おばけ×百鬼夜行×擬音×かわいさと怖さの絶妙バランス×親子の愛情)
メモ
ポイント
【年齢】3歳から
【文字量】ふつう
【保育の視点】
・ポップなおばけと絵巻物から抜け出たような本格的なおばけがでてくる、可愛さと怖さのバランスが絶妙な1冊
・おばけのかわいさと怖さを子どもと一緒にたのしめる

表紙にはポップな絵柄のおばけ3びきと『おろろん おろろん』というタイトル。
何やら、可愛いおばけたちによるたのしげな雰囲気が出ています。
しかし、ページをめくると、右手には不穏な気配がするまっ黒な月とあやしげな雲。
左手には、おばけが出そうな平安調のボロ屋敷に、人型だけど明らかに人外の者と思われるお母さんとお付きの者、そして娘が登場します。

表紙がポップでキュートだっただけに、この落差に子どもは驚くと思います。
ストーリーはこんな感じ。
・ “おろろん”と呼ばれるおばけの行列(百鬼夜行)にお母さんたちが参加する
・ 大人だけのものなので、残念ながらおばけの子どもたちはお留守番
・ そこで、子どもおばけたちだけで集まって、“おろろん”をやり始める
・ 最初はたのしく大盛りあがりだけど、道に迷って泣きそうになっていると、向こうから何かがやってきて…
この絵本の最大の特徴は、イラストレーター・絵本作家であり、自称“絵描き”である、石黒亜矢子さんの絵にあると思います。
古典的な日本のおばけの怖さと、現代的なポップ感やキャラ的なかわいさのあるおばけが、
みごとに合体しているのが、この絵本のおもしろさだとわたしは感じています。

それでいて、絵本全体に流れる雰囲気や背景、大人のおばけたちは本物の絵巻物のような絵で怖さがあります。
この対比が絵本の特徴であり、そこに“おろろん”という不可思議な擬音とともに、おばけたちがたのしそうに列になって歩く“百鬼夜行”が加わることで物語となっています。

“おばけの親子”を描いたストーリーでもあるので、子どもたちもほっこりとした気持ちになれるおばけ絵本です。
さいごに
子どもの大好きなおばけの絵本。
これ以外にも、まだまだたっくさんあります。
これからも、いい絵本を見つけたらどんどん紹介してきますね。
