- 保育現場で働く若手職員向けの記事です
- 社会人として求められる“話し方”を5つにまとめました
- 相手を大切にする話し方をすれば、あなたも大切にされます
仕事を始めて数年の頃、何よりも大切なことがあります。
それは“話し方”です。
もう少し具体的に言うと、話す態度や意識のことです。
なぜかといえば、そこにあなたの社会人としての姿勢が表れるからです。
そこを先輩や保護者も見ており、あなたがどんな人なのかを判断しているのです。
では、どのような話し方をすればいいのでしょうか?
それは“相手を大切にする話し方”です。
働くということは、自分以外の誰かを楽にすること。
つまり、意識を“自分”から“他人”へシフトし、時間や労力を相手に費やすことなのです。
だからこそ、報酬としてお給料がもらえるのです。
まずは、目の前の相手を大切にするために“話し方”を意識して、「社会人としてちゃんとしている」「この人なら任せられる」「しっかりしている」と思ってもらえるようにしましょう。
私が保育者として10年以上働いた経験からわかったことを、5つにまとめました。
色々な失敗をして学び取ったことなので、かなり具体的になっています。
ハキハキ話す
いきなりこの写真でびっくりしますよね(笑)
でも、この方の話し方、きっと数多くの人々が良い印象をもっているのではないでしょうか?
“どう話すか?”ということが、どのくらい影響力を持つかという具体例ですね。
「そんなすごい人はマネできません!」という声が聞こえてきそうなので、話を保育の現場に戻します。
保育園や幼稚園ではどのような話し方が相手に良い印象を与えるのでしょうか?
よく言われることですが、私は“ハキハキ話す”ことが大切だと思います。
- ワントーン高い声で話す(相手が心地よく聞ける)
- にこやかに話す(相手が嬉しい気持ちになれる)
- 言葉の最後まではっきり話す(相手が聞き取りやすい)
- 語尾を変に伸ばさない(相手を不快にさせない)
- 相手に届く音量で話す(相手が聞き取りやすい)
つまり、大事なのは聞き手(先輩や保護者)のことを考えた話し方をするということです。
相手のことを思っている行動は、必ず伝わります。
また、自分のことだけ考えている行動も、必ず相手に伝わります。それもすぐに!
話し方って、実は恐ろしいのです。
話し方1つで、自分の内面がばれてしまうのですから。
話し方をバカにすることなかれ・・。
- 相手が心地よくなるように話そう。
目を見て話す
これも、当然といえばもちろん当然ですよね。
では、なぜ目を見て話さなくてはいけないのでしょうか?
それは、相手の目を見ることは、“私はあなたの話を聞いていますよ”というサインだからです。
コミュニケーションの研修で、横や後ろを向いている相手に話し続けるとどのような気持ちになるのか、というアクティビティがあります。
私もやったことがあるのですが、相手の顔が見えない状態で話し続ける、というのはけっこうツライものです。
相手は「ねぇ、こっち向いて聞いてよ」「話を聞いているのかな?」などと、不快な気分や不安な思いになります。
だから、相手の目を見て話すことはとっても大切なのです。
目を見て話して、「あなたに話をしていますよ」「あなたの話を聞いていますよ」というサインを送ることで、互いに安心して会話ができるのです。
ただ、目を見て話す時は1つだけ注意してください。
それは、あなたの感情は目からだだもれているということです。
「この人、ちょっと苦手なんだよなぁ」「怒られたくない・・」「クレームは勘弁してよぉ」などという心の声が、注意しないとあなたの目から相手に伝わってしまうのです。
“目は口ほどにものを言う”ということですね。
だから、苦手な人と向き合うときには、自分の感情や態度を強く意識する必要があります。
それが難しい相手の場合、いいところを見つけることも大切です。
子育てしながら働くのはとても大変なことです。
だから、保護者はすごい!
何年も働き続けることとても大変なことです。
だから、先輩はすごい!
そんなふうに、相手を尊重する気持ちを持って向き合ってください。
それが、接遇であり、職場のコミュニケーションとなります。
- 口だけでなく、目でも気持ちを伝えよう。
体を向けて話す
体を向けて話すことは目と同じように、行動で相手にメッセージを送ることです。
これは「あなたの話を聞いていますよ」という意味もありますが、「あなたのことを大切にしていますよ」というサインを送ることができます。
そもそも、“顔だけ向けて相手の話を聞く”というのは、失礼なことです。
「私は目の前のことで忙しいけど、しょうがないから顔だけ向けて話を聞きますね」というような印象を相手にあたえてしまいます。
ましてや、あなたは若手の職員。周囲の人すべてが、年も立場も上です。
(たとえ年下の保護者がいても、利用者とサービス提供者という立場では相手が上ですね)
だから、目や体の使い方も、しっかりと考えなくてはいけないのです。
働くって大変ですよね。
でも、これも慣れです。繰り返しで必ず身につきます。
「あ~あぁ」などと思うときもあるけれど、とにかく“やる”だけです。
こちらから先に相手を大切にすれば、自然と周囲もあなたを大切にしてくれますから。
ただ、保育中はどうしても体を相手に向けられないこともありますよね。
そんな時は無理をしないで、顔と気持ちを相手に向ければいいのです。
それは伝わります。
「こんな話し方ですみません」などと、会話の最後に付け加えてもいいですね。
そのような気づかいが、良質なコミュニケーションなのです。
- 目だけでなく、体の向きも意識しよう。
返事をする
ここでは「相手を大切にする2つの返事」を紹介します。
① あいづち
新人のあいづちは「はいっ」です。
職場で出会う人たちは友だちではないので、「うん」とか「はーい」というあいづちはふさわしくないです。
必ず「はいっ」です。
そして、相手の話の切れ間で、テンポよくあいづちを打ちます。
相手は「話を聞いてもらえてるぞ」と気持ちが満たされていき、もっと話したくなります。
相手の話のリズムと息が合ったあいづちは、それだけで良い印象を与えるし、会話が弾みます。
② 思いに応える返事
具体例をあげます。
- ■事例1:相手の思いに応える返事(保護者との朝の会話)
-
保護者:「うちの子昨日から、ちょっと咳が出るんです。熱はないんですけど・・」
あなた:「そうですか。どんな時によく咳が出ますか?」
保護者:「寝ているときです。起きているときはあまり出てないかな」
あなた:「わかりました。では今日の午睡の様子などを連絡ノートでお知らせしますね」(気持ちに応える返事)
保護者:「はい、お願いします」
- ■事例1:相手の気持ちに応える返事(保護者との朝の会話)
-
保護者:「うちの子昨日から、ちょっと咳が出るんです。熱はないんですけど・・」
あなた:「そうですか。どんな時によく咳が出ますか?」
保護者:「寝ているときです。起きているときはあまり出てないかな」
あなた:「わかりました。では今日の午睡の様子などを連絡ノートでお知らせしますね」(気持ちに応える返事)
保護者:「はい、お願いします」
保護者の訴えは“咳が出る”ということでした。
しかしその奥には、“ひどくならないか心配”とか、“ひどくなりそうなら早目に受診したい”というような保護者の気持ちが隠れています。
ですから、私たち保育者からは、“様子を見ていく”“何か変わりがあれば伝える”などとその思いに応えることが大切です。
会話の最後にしっかりと伝えることで、保護者に安心してもらうことができます。
(事例での保育者の返事は一例です。これが正解というわけではないので、保護者との関係性やその時の状況に応じて、使い分けてください)
もう1つ事例を挙げます。
- ■事例2:確認の返事(組んでいる先輩との会話)
-
先輩:「今月の園だより、あなただったかしら?」
あなた:「はい、そうです」
先輩:「締め切りが来週の金曜だから、月曜くらいにはできるかな?」
あなた:「はい。では、月曜までに書きます」(確認の返事)
あなた:「その際には、内容の確認もお願いします」
先輩:「うん!では、よろしくね」
- ■事例2:確認の返事(組んでいる先輩との会話)
-
先輩:「今月の園だより、あなただったかしら?」
あなた:「はい、そうです」
先輩:「締め切りが来週の金曜だから、月曜くらいにはできるかな?」
あなた:「はい。では、月曜までに書きます」(確認の返事)
あなた:「その際には、内容の確認もお願いします」
先輩:「うん!では、よろしくね」
先輩は、あなたが“いつまで”に園だよりを書けるのかを気にしています。
あなたの原稿チェックと直しの時間も考えて、締め切りまでのスケジュールを把握したいと思っています。
ですから、私が“いつまでに書くのか”という返事が必要です。
さらに、忙しい中、自分の園だよりをチェックしてくれる先輩への気づかいを言葉にすることは大切ですね。
このように、相手が心配していることを言葉に出して確認することで、先輩は安心して、新人であるあなたに仕事を任せられるのです。
- リズムよくあいづちを打とう。
- 締めくくりの返事で相手に安心してもらおう。
感謝を伝える
みなさんはすでに、「ありがとうございます」と感謝の気持ちを周囲の人々に伝えていることと思います。
笑顔や態度、そして言葉で“ありがとう”の気持ちを伝えることはとても大切ですよね。
また、感謝の気持ちを伝えられた相手も嬉しい気持ちになっています。その瞬間、あなたと相手は、嬉しい気持ちでつながっています。
その一瞬を積み重ねることで、あなたと保護者、先輩との間に信頼関係ができていくのです。
だから、感謝の気持ちを伝えることは大事なのです。
これとは真逆の、負のコミュニケーションがあります。
それは、どんなときでも「すみません」「すみません」と謝って、謝罪の言葉でやりとりすることです。
これではお互いの関係は育ちにくいように思います。
どうしても「すみません」という言葉が多くなってしまうなら、「ありがとうございます」という感謝の言葉をつけ加えることを考えてみて下さい。
たとえば、先輩に怒られたときには、次のように伝えることもできます。
「○○先生、~~の件は本当にすみませんでした。これから気をつけていきます」と謝る。
そして、「私のために厳しいことを言ってくださり、ありがとうございます」という感謝の言葉も添える。
先輩があなたを叱るのは、あなたに成長してほしいからです。
その気持ちに応えて感謝の気持ちを伝えることは、たとえ怒られているとはいえ、お互いに大事なことだと思います。
ただ、このやり方が逆効果な場合もあります。
それは、同じ間違いを何度も繰り返してしまったときです。
そんなときに感謝の気持ちを伝えても、
- 「なんで何回言ってもわからないのよ!」
- 「それなのに、ありがとうですって?」
- 「馬鹿にしてるの!?」
とイライラさせる可能性が高いからです。
状況に応じて、「ありがとうございます」という感謝の言葉をつかっていってください。
- 嬉しい気持ちで人とつながろう。
応援される人になる
- 相手が心地よくなるように話そう
- 口だけでなく、目でも気持ちを伝えよう
- 目だけでなく、体の向きも意識しよう
- リズムよくあいづちを打とう
- 締めくくりの返事で相手に安心してもらおう
- 嬉しい気持ちで人とつながろう
いかがでしたでしょうか?
自分の体験を振りかえると、社会に出てまずぶつかったのは意識を“自分”から“他人”にシフトすることでした。
「自分が」ではなく、まず周囲の人や職場が大切にしていることを同じようにやってみることでした。
私はなかなかそれがうまくできず、いま思い返すと恥ずかしくなります。
そんな私でも、10年以上働いてわかったことがあります。
それは、“相手を大切にすれば、自分も大切にされる”ということです。
働いて失敗する中で、まずは自分から行動することの大切さを学びました。そんな私の体験が、誰かの役に立つならばとても嬉しいです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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