保育園や幼稚園で毎日やる「集まりの大切な意味」をまとめています。
「集まり」には子どもを成長させ、保育をスムーズにする力があります。16年間の保育経験から「集まりの大切さ」を実感しています。
- 保育歴16年の保育士
- 0歳から5歳まですべて経験
- 主体性を大切にする保育を実践
- 保育歴16年の保育士
- 0歳から5歳まですべて経験
- 主体性を大切にする保育を実践
この記事では「集まり」の効果を最大限にするために、「4つの意味」としてまとめています。
子どもの主体性や就学に向けて必要なスキルを伸ばすことに直結するので、「保育のスキルを高めたい」「集まりがうまくいかなくて困っている」などと思っている保育士さんや幼稚園の先生はぜひご覧ください。
集まりは「子どもの気持ちを切り替える」
あそびや活動の間に集まりを入れると、子どもたちの気持ちが切り替わる
落ち着いて室内あそびをしていても、一定の時間が過ぎると子どもの集中は途切れていきます。
走りまわったり、たたかいごっこを始めたり、ということがよくありますよね。
また、いつもと違う場所でのあそびやホールで体操などをすると、環境の変化から子どもたちが興奮することもあります。
そんな時に “集まり”をするのです。
片づけたり座って話を聞くことで、気持ちを切り替えることができるからです。そうすることで、次の活動にスムーズに移ることができます。
ただ、“集まり”は子どもたちのあそびや気持ちを「そこで終わりにする」ことでもあります。
乳児クラスであれば、「ちょうどあそびが盛り上がってきたから、もう少し集まりをしないでおこう」ということもあるでしょう。
同じような状況でも4・5歳児クラスならば、「もう少し遊びたい?」「じゃあ時計の長い針がどこになったら片づける?」などと子どもと一緒に考えることもあるでしょう。
大人がすべてカチッと決めずに、子どもの姿を見て、気持ちを聞いて、うまく“集まり”ができたらいいですね!
集まりは「楽しいあそび」
“楽しさ・安心・信頼関係”をつくり、その先の活動につなげていく
集まりでは手あそびや歌、紙芝居や絵本、パネルシアター、パペットなど、色々なことを子どもたちと楽しみますよね。
子どもたちにとっては楽しいあそびであり、安心して過ごせる時間だと思います。
そして、「集まりって楽しいな」「先生の話を聞くのは心地いいな」「安心するな」という日々の積み重ねが、4・5歳児クラスの“集まりの土台”となります。
ですので、乳児から3歳児クラスの間に“集まりは楽しいもの”と子どもたちが学び、“集まり”への意欲を育むことがとても大切です。
そのためにも、“集まり”での楽しいあそびは不可欠です。
では、そのあそびをみなさんはどうやって選んでいるでしょうか?
言うまでもないことでしょうが、念のため言葉にしてみると、
① 子どもが理解できるものか?(発達に合っているか)
② 子どもにふさわしいものか?(保護者に見せられるか)
③ ねらいがあるか?(誰かに説明できるか)
などとなります。
ここで“ねらい”という言葉が出てきたので、そこも整理してみました。
【子どもにとってのねらい】
・“見る、聞く、話す、歌う、感じる、考える、手や体を動かす”などを楽しめる
・気持ちが切り換えられる
・安心した気持ちになり、ホッとひと息つくことができる
・“集まりは楽しいもの”と思える
【保育者にとってのねらい】
・様々なねらいを持たせたあそびを経験させられる
・楽しい時間を子どもと共有し、関係を深められる
・子どもに“集まりは楽しいもの”と思ってもらえる
集まりでやっている手あそびなどは、実は幼児クラスやその先の就学にまでつながっているのです。
普段はなかなかイメージしづらいことかもしれませんが、私たちがやっていることの意味やゴールを知っていれば、子どもを見る視点や保育そのものが変わっていきます。
そのような意味も含めて、“集まり”を見直すことは必要だと思います。
集まりで「見通しを持つ」
見通しを持てるから“主体性”が生まれる
どの年齢のクラスでも、集まりをすればその日の予定を伝えているのではないでしょうか?
1~2歳児クラスでも「今日はお庭であそぼうね」などと話しますよね。
みなさんが何気なくやっている予定のお知らせ。これが子どもの主体性を引き出すために必要なことなのです。
それは、先の見通しを持てて初めて、子どもたちは自分からやりたいことを考えられるからです。
たとえば、「これからお散歩に行くよ」と子どもたちに伝えると、
「今日は散歩なんだな、わかったぞ」と安心する
「じゃあ、○○くんと手をつなぎたいな」と楽しみにする
「先生、○○公園にいこうよ!」と自分で考えて意見を言う
などと考えたり、感じたりするのではないでしょうか。
見通しを持てれば、子どもたちは自然と主体的に考えることができます。
もう少し具体的に言うならば、子どもたちは今と、ちょっと先の予定がわかれば、「じゃあどうやってやろうかな?」と考えることができるのです。
・“集まり”で今日の予定や少し先のことを伝えることで、子どもたちに見通しを持たせる。
・そこから子どもたちの考えや思いが広がるので、保育者がそれをくみ取っていく。
・そして、どのような物的・人的環境を準備したらいいのか考えていく。
そのような流れの繰り返しが、子ども主体の保育につながっていくのではないでしょうか。
集まりは「就学に向けた練習」
集まりは“聞く・話す・考える”を練習する時間
保育園生活の目的地(ゴール)は小学校。
小学校とは“聞く・話す・考える”という力をつかって、子どもたちが自分で勉強をするところです。
だから、保育園(特に幼児クラス)では、子どもたちが“聞く・話す・考える”という経験を楽しみながら積み重ねることが大切になります。
それを1番練習できるのが「毎日の集まり」です。
集まりの中でどのような経験をしているか簡単にまとめます。
【聞く】
・イスに座って担任の話を聞く(聞く練習)
・目を見て、おへそを向けて、背筋を伸ばして聞く(姿勢)
・聞くときはおしゃべりをしない(ルール)
・友だちの意見を聞く(共感・発見・学び)
【話す】
・集まりで自分の気持ちや考えを言う(話す練習)
・手をあげて、当てられたら発言する(ルール)
【考える】
・担任の投げかけにより、みんなで意見を出して考える(担任と子ども)
・グループなどで話し合う(子ども同士)
何か特別なことをしなくても、上記のようなポイントを押さえて幼児クラスの集まりを行えば、自然と“聞く・話す・考える”という力は育っていきます。
ただ、これらはいきなりすぐにできるわけではないですし、“ルールだから”と無理やりやらせても、子どもの育ちにはつながりません。
大切なのは以下の3つです。
① 子どもにとって“あそび”になっているか?
② 子どもにとって“必要性”があるか?
③ 子どもが“やりたいこと”なのか?
この条件を満たす活動を考えて、日々積み重ねて行くことが「主体性を引き出す環境づくり」だと思います。
まとめ
① 活動の切り替え
② 楽しいあそび(紙芝居・絵本・手あそび・歌など)
③ その日の予定を知り、見通しを持って生活する
④ “聞く・話す・考える”の練習
乳児クラスでは集まりでたくさん遊び、“集まりは楽しいな”“先生の話を聞くと面白いな”と感じてもらう。
幼児クラスではあそびもやりつつ、“聞く・話す・考える”を経験できるような取り組みを行い、先の予定を伝えることで子どもたちに見通しを持たせる。
それが子どもの主体性につながるポイントです!
保育者がその日その時を子どもたちと楽しみ、子どもと一緒に経験を積み重ねていけることを願っています。
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