- 3歳児クラスの保護者会では、何を話せばいいの?
- 3歳児クラスの1番の特徴は?
- 3歳児の発達について、どうやって説明すればいいの?
こんなお悩みを解決します。
この記事では、3歳児クラスの保護者会・懇談会を成功させるために、どんなことを話したらいいのかがわかる具体例をまとめました。
16年保育士をやってきて、3歳児クラスは2回担任をしている経験から、コツをまとめました。
- 保育歴16年の保育士
- 0歳から5歳まですべて経験
- 保護者会は50回以上経験
- 保育歴16年の保育士
- 0歳から5歳まですべて経験
- 保護者会は50回以上経験
記事の前半では「3歳児の特徴や発達」についてまとめ、後半では「家庭でできるサポート」や「3歳の懇談会でおすすめグループワーク5選」を紹介しています。
「初めての3歳児担任です」「何からやったらいいかわからない」と思っている保育士さんや幼稚園の先生はぜひご覧ください。
3歳児クラスの保護者会で伝える5つのこと
年少クラスの保護者会では、保護者に伝えたい大切な内容が5つあります。
- 3歳児クラスの1年間の保育
- 3歳児の大きな特徴
- 3歳児の発達と成長
- 年間行事予定の説明
- お知らせやお願い
この記事では①〜③について、具体例なども含めて解説していきます。
④〜⑤は園ごとに異なるので、前年度の保護者会資料などをベースに考えてくださいね。
3歳児クラスの1年間の保育を伝える
担任や保護者の自己紹介が終わったあと、1番最初に話すのは「担任の思い」です。
1年間どんな保育を行うのか、子どもたちにどう成長してほしいのか、自分の思いを伝えましょう。
3歳児クラスの保育で大切にしたいポイントを、子どもの発達をベースに6つまとめました。
- 自分でやりたいをたっぷりと(自我の育ち)
- ”友だちと一緒”をたくさん経験する(人間関係・遊び)
- ごっこ遊びの世界を楽しむ(想像力を広げる)
- 身体を思ったように動かせるように(運動機能)
- ”できた”をたくさん積み上げていく(基本的生活習慣)
- 友だちとつながる言葉を身につける(言葉・社会性)
どれも3歳児クラスの子どもたちに大切なことですね。
では、具体例をあげて、保護者への伝え方を紹介します。
例① ”友だちと一緒”をたくさん経験する
この1年間、子どもたちが”友だちと一緒”をたくさん経験できるように、クラス運営を進めていきます。
3歳児クラスは、友だちへの興味が芽生え始める時期ですが、この年代の遊びの特徴は「並行遊び」といいます。
同じ場所で遊んではいても、それぞれの遊びを楽しんでいる状態のことです。
この「並行遊び」から、友だちと関わって遊びを広げられるように、担任としてサポートしていきます。
先日のブロック遊びでの出来事をお話ししますね。◯◯ちゃんと△△くんが、同じスペースでそれぞれブロックを組み立てていました。これが並行遊びですね。
しばらくすると、◯◯ちゃんが「わたしの家、できたよ!」と嬉しそうに言いました。それを聞いた△△くんも「ぼくも家つくった!」と声を上げました。
ここで、わたしは「◯◯ちゃんと△△くん、2人とも素敵なお家ができたね。どんなお家なのかな?」と声をかけてみました。
すると、◯◯ちゃんが「ウサギさんのお家だよ」、△△くんが「恐竜のお家だよ」と教えてくれました。「へぇ〜、面白いね。ウサギさんと恐竜さん、お隣さんなんだ」と言うと、2人は顔を見合わせて笑い合いました。
そこで「ウサギさんと恐竜さん、お友だちになれそうかな?」と投げかけると、◯◯ちゃんが「うん!一緒にごはん食べに行く!」と言い、△△くんも「いいね、一緒に行こう!」と答えて、2人の遊びが始まりました。
大人がそばで見守って、ときには遊びをつなげたり、ときには一緒に遊んだりすることで、友だちとの関わりを増やしていきます。
「友だちと一緒って楽しいな」という経験を、たっぷり味わえるように保育をしていきますね!
3歳児の子どもたちの特徴が良くわかりますね。
例② 友だちとつながる言葉を身につける
3歳児クラスの1年間では、「友だちとつながる言葉を身につける」ことを大切にしていきます。
「入れて」「貸して」「ありがとう」など、友だちとつながる言葉が身につけば、友だちとの関わりがどんどん広がるからです。
先日、ままごとコーナーでこんな場面がありました。
Aくんがフライパンで遊んでいるところへBちゃんが来て、急につかっていたフライパンを取ってしまったんです。Aくんが怒って、けんかが始まりそうでした。
わたしが間に入って、「急に取られたらビックリするよね」「もしかしたら、Bちゃんは一緒に遊びたいのかな?どうしたら一緒に遊べるかな」と2人に声をかけました。
するとAくんが「『入れて』って言って欲しかった」と答えてくれました。私もBちゃんに「入れてって言ったら良かったみたいだね」と声をかけると、Bちゃんは「入れて」と言えたんです。
それから2人でごはん作りが始まって、楽しく遊ぶことができました。
このように、最初はけんかになりそうな場面でも、「入れて」「いいよ」という言葉を使うことで、友だちとつながるきっかけになります。
ときには泣いたり怒ったりすることもありますが、そういった経験を重ねながら、少しずつ友だちとの関わり方を学んで、一緒に遊ぶ楽しさをたくさん味わってほしいと思います。
けんかを通して学んでいく子どもの姿が、良くわかりますね!
3歳児の大きな特徴 〜 先を見通す力 と 自分でできる自信 〜
3歳児クラスでは「こうすれば、次はこうなる」ということがわかってくるので、次はどうなるかという予測を立てられるようになります。
「部屋に入る前に、おもちゃを片付ける」とかがわかるってことですね!
「先を見通す力」が育ちますし、身体も手先も使い方がうまくなるので、「自分でできる」という自信が生まれてくるのが3歳の大きな特徴です。
だから、なんでも「自分でやる!」といって、大人の手伝いを嫌がるんですね。
とはいえ、まだ3歳児なので、着替えや片付けなど保育者のサポートがまだまだ必要です。
そんな3歳児クラスの保育には、大切なポイントが2つあります。
- ✅ 子どもの「やりたい」を大切にする
-
- 「やりたい」という気持ちを受け止め、できる限り自分でできるように見守る。
- 子どもの意欲を大切にすると、自我が発達していきます。
- ✅ うまくできないところは、そっとサポートする
-
- 「自分でできた」が感じられるように、あとちょっとの部分をそっと手伝うのもOK。
- 「難しかったら教えてね」などと声をかけて、「あと、ちょっとだね」などと声掛けして見守る。
- ✅ 子どもの「やりたい」を大切にする
-
- 「やりたい」という気持ちを受け止め、できる限り自分でできるように見守る。
- 子どもの意欲を大切にすると、自我が発達していきます。
- ✅ うまくできないところは、そっとサポートする
-
- 「自分でできた」が感じられるように、あとちょっとの部分をそっと手伝うのもOK。
- 「難しかったら教えてね」などと声をかけて、「あと、ちょっとだね」などと声掛けして見守る。
保育士が見守っている中で、たくさんチャレンジできるようにします。
たくさんの「できた」を積み重ねて、ぐんぐん成長してほしいですね!
3歳児の発達と成長
3歳児の発達は、何をポイントにして話せばいいですかね?
「ポイントになる8つの項目」と「説明の例」をまとめます!
*子どもの発達をわかりやすく説明してくれる、この本を参考にしています。
①運動機能:身体の動きがスムーズになる
2歳の頃に比べて、全身を使った動きがより滑らかになります。そして、歩いたり、走ったりを繰り返すうちに、運動能力やバランスを取る感覚が発達していきます。
- 平均台を渡ったり、マットででんぐり返しができる
- 三輪車をこげるようになる
- ケンケンしながら、前に進めるようになる
走る、跳ぶ、投げるなどの基本的な動作もうまくなるので、遊びの幅がぐーんと広がります。
走りながらの方向転換や、急にストップする遊びもうまくなりますね!
②人間関係:友だちとの関わりが増える
2歳児では大人との関わりが多かったですが、3歳児になると友だちへの関心が高まります。
- 友だちと一緒に遊ぶことを楽しむようになる
- 「貸して」「入れて」など、言葉でのやりとりが増える
- 並行遊びをたっぷり楽しむ
遊びの場所を共有する並行遊びを楽しむ中で、少しずつ友だちへの興味も広がっていきます。 楽しそうな遊びを自分でもやってみたり、おもちゃを貸し借りすることも増えていきます。
友だちとの関わりの中で、順番や交代など、一緒に遊ぶ方法を身につけていきます。
③基本的生活習慣:自分でできることが増える
基本的な生活習慣が身についてきて、食事や着替え、排泄など、自分でできることが増えていきます。
- 衣服の着脱が上手になり、脱ぎ着しやすいものなら自分で着脱する
- 手洗い、うがいの習慣が身につく
- オムツが外れ、トイレでの排泄がほぼ自立する(個人差アリ)
できたことを褒めて自信につなげながら、楽しく習慣づけていくことが大切です。
個人差があるので、「ほかの子はできてるのに…」と保護者の方が心配しないように、しっかり説明しないとですね!
④言葉:会話を楽しめるようになる
語彙が増え、文章で話せるようになってきます。
- 「ぼく」「わたし」という一人称をつかうようになる。
- 現在・過去・未来の区別がついて、「〜したよ」などと会話で表現できる。
- 「なぜ?」「どうして?」と質問することが多くなる
また、抽象的な言葉もわかるようになるので、「ゾウ・サル・ねこ」が集合した言葉「動物」なども理解できるようになります。
子どもたちとの会話が、さらに楽しくなりますね!
⑤認知:想像力が豊かになる
目で見たものだけでなく、頭の中でイメージを膨らませることができるようになります。
- ごっこ遊びが盛んになる(お店屋さんごっこ、お医者さんごっこなど)
- 簡単なパズルやカードゲームを楽しめるように
- 数の概念が芽生え、数え始める
遊びの中で、子どもの想像力を刺激するような声かけをすると、さらに遊びが発展していきますよ。
「10秒数えたら交代ね」などと、生活の中で意識して声掛けしたいですね。
⑥心:自我が育つ
「自分でやりたい」という気持ちが強くなり、時には頑固になることも。
- 「イヤ」「ダメ」と自己主張することが増える
- ものや人に対して「好き」「嫌い」が強くなる
- 自分より小さい子に優しくする気持ちが芽生える
自我の育ちは大切な発達の過程です。できる限り子どもの気持ちを受け止められるような工夫が、保育園でも家庭でも必要になってきますね。
「自分でやりたい」という気持ちを、のびのび出せる環境を用意したいです。
⑦遊び:創造性が豊かになる
遊びの幅が広がり、友だちと一緒に遊ぶ楽しさを知ります。
- 積み木やブロック遊びで、イメージしたものを作れるように
- 絵を描くことを楽しみ、好きなものを表現する
- 絵本のストーリーがわかってくるので、ごっこの世界で再現して遊ぶ
平行遊びが多いので、ごっこ遊びをするときは保育者が遊びのきっかけをつくることが大切です。
ごっこ遊びに保育者も加わり、バスの運転手さんやお店屋さんの店員さんなど、役割がわかりやすいものを選んで遊びをリードしていきます。
子どもたちの成長に合わせて、保育士の手助けを減らしていくのがポイントですね!
⑧社会性:ルールの理解が進む
集団生活の中で、少しずつルールや約束を理解できるようになります。
- 順番を守れるようになる
- 「ありがとう」「ごめんね」などの言葉が自然に出るように
- 「入れて」「貸して」などの関わる言葉を身につけていく
「◯◯くんが、貸してって言わないでおもちゃとった〜!」などのケンカを繰り返すことで、友だちと遊ぶために必要なやり方を少しずつ学んでいきます。
トラブルは悪いことじゃなくて、子どもの大切な学びの機会なんですね。
【補足】家庭でできる子どもへのサポート
「子どもの成長のために、家でできることはありますか?」と保護者に聞かれるんですけど、どう答えたら良いですかね?
3歳児の姿をもとに、おうちでできる3つのことを紹介します。
①保育園でやったことを一緒に楽しむ
「今日はどんな楽しいことやったの?お母さんもやりたいな」などと、子どもに言えば、子どもたちははりきって教えてくれるでしょう。
過去のことを思い出し、自分が先生になったように話し、保育園でやった遊びを親子で楽しめます。
「自分でやりたい」3歳児にぴったりの遊びですね!
この遊びをやると、
- おうちでの遊びの幅が広がる
- 「思い出す、説明する、再現する」ことを子どもが経験できる
- 保育園での遊びがもっと好きになる
など、良いことがたくさんあります。
ポイントは、保護者の方も連絡表などで遊びの情報をキャッチしておくことです。
子どもが遊びを忘れてしまっても、「もしかして、次は◯◯をやるのかな?」などとフォローできるからです。
わたしも、連絡表に「今日の遊び」をわかりやすく書いていきますね!
② 身体をたくさん動かしてあそぶ
運動能力が大きく成長する時期ですので、外でたくさん身体を動かす機会を作れると良いですね!
身体を動かして遊べば遊ぶほど、思ったように動かせるようになっていきます。また、 体だけでなく、心や社会性、認知力なども一緒になって発達します。
すべてはつながっているので、たくさん身体を動かすことが成長につながります。
たくさん遊んで、良く食べて、ぐっすり寝ることが大事ですね!
③ のんびりできる時間もつくる
子どもたちは毎日保育園で夢中になって遊んでいるので、ときにはのんびりと過ごす時間も大切になります。
楽しいとはいえ、保育園は「外の場所」だからです。
平日にも、土日にも、ほっと休める時間をつくってあげたいですね。
たとえば、こんな感じでしょうか。
- お風呂に一緒にのんびり入る
- 寝る前の絵本タイム
- 休日は一緒にお昼寝
オンとオフを意識できるといいですね〜。
3歳児クラスの懇談会で伝えること
秋や冬にやる保護者会や懇談会では、何を話せばいいんですかね?
年度の途中にやる保護者会などでは、春先に伝えた保育の目標や、子どもたちの発達が「今、どうなっているか?」を話しましょう。
3歳児の発達や保育のポイントを改めてまとめます。
①運動機能
②人間関係
③基本的生活習慣
④言葉
⑤認知
⑥心
⑦遊び
⑧社会性
⑨先を見通す力
⑩自分でできる
春からどのように子どもたちの姿が変化しているか、 生活や遊びの具体例と一緒に話しましょう。
①〜⑩がわかるようなエピソードを、事前にメモしておかなきゃですね。
3歳児クラスの懇談会でおすすめのグループワーク5選
懇談会のグループワークは、どんなものがおすすめですか?
「こんなやり方もあるんだ!」と子育てのヒントをもらえるようなワークがおすすめです。5つ紹介しますね!
グループワークのやり方
1つのワークで30分ほどかかります。
- 3〜4人のグループに分かれて座る。
- グループごとに模造紙、ポストイット、マジックを用意。
- 思いついたことを、ポストイットにどんどん書き出してもらう。(5分)
- ポストイットは大きな模造紙に貼って、グルーピングしてもらう。
- グループ内でお互いに発表しあって、気づいたことなども共有する。(15分〜20分)
- 最後に、自分のグループで話し合ったことを代表者が発表する(5分)
話が盛り上がっていたら、話し合いの時間を少し増やしても良いですね!
1. 「お片付け大作戦」アイデア出し
- 子どもと一緒に楽しくお片付けするコツや工夫を出し合います。
良いアイデアはさっそく家でも試せますね!
2. 「困ったときはどうしてる?」情報交換
- 子どもが言うことを聞かないときなど、困った場面でどう声をかけるか、それぞれの家庭のやり方を共有します。
なんでも解決できる魔法の言葉はなかなかありませんが、たくさんのヒントをもらえるワークです。
3. 「我が家のルール」シェア
- テレビの時間やおもちゃの片付けなど、家庭のルールを共有します。
- 他の家庭の工夫を知ることができます。
「うちは厳しすぎたかな?」「もう少し、ルールをつくらないと」など、お互いに刺激になりそうですね!
4. 「うちの子、びっくり大会」
- 子どもの発言や行動で、驚いたり、おもしろかったりしたことを共有します。
- 子育てをしていると「もう笑うしかない!」ということがよく起こるので、みんなで笑い飛ばすと、スッキリできます。
わたしも2児の親なので、この手の話はたっぷりありますよ(笑)
5. 「朝の準備、どうしてる?」タイムスケジュール交換
- 朝の準備をどのように進めているか、時間配分や工夫を共有します。
- みんなも苦労していることがわかり、新しいアイデアも得られます。
どんなアイディアがあるのか、わたしも知りたいです!
グループワークを通してお互いにヒントをもらいつつ、楽しく話すことで関係性が広がりますね。
アイスブレイクやグループワークについて、さらに知りたい方はこちらをどうぞ。
まとめ
3歳児クラスの保護者会、懇談会で伝えたい内容をまとめました。
「もっとこんなことを知りたい」という質問があれば、コメント欄にどうぞ!
3歳児クラスの保護者会や懇談会が、楽しく、スムーズにいくことを願っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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