こんなお悩みを解決します。
この記事では、4歳児クラスの保護者会・懇談会を成功させるために、どんなことを話したらいいのかがわかる具体例をまとめました。
16年保育士をやってきて、4歳児クラスは2回担任をしている経験から、コツをまとめました。
- 保育歴16年の保育士
- 0歳から5歳まですべて経験
- 保護者会は50回以上経験
- 保育歴16年の保育士
- 0歳から5歳まですべて経験
- 保護者会は50回以上経験
記事の前半では「4歳児の特徴や発達」についてまとめ、後半では「家庭でできるサポート」や「年中の懇談会でおすすめグループワーク5選」を紹介しています。
「初めての4歳児担任です」「何からやったらいいかわからない」と思っている保育士さんや幼稚園の先生はぜひご覧ください。
4歳児クラスの保護者会で伝える5つのこと
年中クラスの保護者会では、保護者に伝えたい大切な内容が5つあります。
- 4歳児クラスの1年間の保育
- 4歳児の大きな特徴
- 4歳児の発達と成長
- 年間行事予定の説明
- お知らせやお願い
この記事では①〜③について、具体例なども含めて解説していきます。
④〜⑤は園ごとに異なるので、前年度の保護者会資料などをベースに考えてくださいね。
4歳児クラスの1年間の保育を伝える
担任や保護者の自己紹介が終わったあと、1番最初に話すのは「担任の思い」です。
1年間どんな保育を行うのか、子どもたちにどう成長してほしいのか、自分の思いを伝えましょう。
4歳児クラスの保育で大切にしたいポイントを、子どもの発達をベースに7つまとめました。
- 友だちがもっと好きになる(友だち関係や協同遊びの広がり)
- 「できた」「悔しい」を一緒に味わう(自意識・自尊心の育ち)
- 子どもと一緒に「どうして?」を広げる(知的好奇心の育ち)
- 「自分のことができるって嬉しい」を味わう(基本的生活習慣の確立)
- 子どもの「やりたい」が生まれる環境づくり(想像力や手先の操作の発達)
- 身体を動かすことがもっと好きになるように(運動能力の発達)
- 気持ちがゆれる子どもたちに寄り添う(葛藤の時期)
どれも4歳児クラスの子どもたちに育ってほしい姿ですね。
では、どのように保護者に伝えたらいいのか、具体例を挙げます。
例① 「友だちがもっと好きになる保育」をしたい
4歳児クラスは友だちと一緒に遊ぶ姿がぐっと増える時期です。
「友だちとの遊びが楽しい」「もっと友だちと一緒に遊びたい」とみんなが思えるようなクラス運営をしていきます。
先日の砂場遊びの話をちょっとしたいのですが、3人の子が砂でケーキをつくっていたんですね。
そのうち、◯◯ちゃんが「ケーキ屋さんごっこしよう!」と提案。ほかの2人も「いいね!」と乗り気だったのですが、3人とも「お店の人をやりたい!」と主張し始めたんです。
「でも、それじゃあお客さんがいないじゃん」と子どもたちが言い出し、遊びが止まりそうになりました。
今にも始まりそうな楽しい遊びが止まってしまったらもったいないと思い、「3人ともお店の人がやりたいんだね。でも、お客さんも来てほしいよね。何か良い方法はないかなぁ」と投げかけてみました。
子どもたちは少し考えた後、「じゃあ、交代でやる!」「他の子も誘ってくる!」といったアイディアを考え、途中から仲間に加わった▢▢くんも入って、4人の遊びを楽しむことができました。
友だちと一緒に遊びたいけどうまくいかなかったり、長続きしないことも多いので、子どもたちの側でサポートしていきます。
そして、1年を通して、子どもたち同士で遊びを前に進められるように支えていきます。
子どもの具体的な遊びや言葉で説明されると、保育園での様子がよくわかりますね!
例② 「できた」「悔しい」を一緒に味わう
4歳児クラスは先を見通す力がついてくるので、自意識が育ちます。
すると、「うまくやりたいのにできない」とか「自分だけできなくて悔しい」などと、感情が大きく動きます。
担任として子どもたちの「やりたい気持ち」を応援し、「できない悔しさ」を一緒に味わって、クラスみんなの成長を支えていきたいと思います。
先日、製作のときに、ハサミを使って形を切り抜こうとするものの思い通りの形にならず、悔しそうに何度もやり直す子どもの姿が見られました。
わたしは「◯◯くん、何回も挑戦しているね。あともう少しだけど、ここがうまく切れなくて悔しいね」と声をかけました。
◯◯くんは「そうなんだよ、先生。もっとここをかっこよくしたいんだよ」と悔しそうな表情を見せながら、自分の気持ちをわかってもらえたことで、ほっと一息つけた感じでした。
声をかけることで何かがすぐにできるわけではありませんが、「もう1回がんばろう」と思える環境づくりであったり、やり方のヒントを伝えるなどして、子どもたちが安心して生活できる1年間にしたいと思います。
担任の先生の思いが伝わりますね!
4歳児の大きな特徴 〜自意識と葛藤〜
担任の思いのところでもありましたが、4歳児の子どもたちは自意識が成長することで、「理想の自分」と「現実の自分」のズレに葛藤することが増えていきます。
思ったようにできなかったり、友だちはできるのに自分はできないことで、大泣きしたり怒ったりする子がいるのは、そういうことなんですね。
このあたりを保護者会で、どうやって話したらいいんですかね!
大切なポイントが2つあります。
- ✅ 「葛藤」は成長に欠かせないもの
-
- 「こうなりたい」というイメージを持てているからこそ、葛藤が生まれる。
- 悔しさは「うまくできないこと」を乗り越えていく原動力になる。
- ✅ 傷ついた心に寄り添っていく
-
- 子どもは「うまくできないこと」に傷ついている。
- 保育士や保護者など、周囲の大人が子どもの気持ちに丁寧に寄り添っていく。
- ✅ 「葛藤」は成長に欠かせないもの
-
- 「こうなりたい」というイメージを持てているからこそ、葛藤が生まれる。
- 悔しさは「うまくできないこと」を乗り越えていく原動力になる。
- ✅ 傷ついた心に寄り添っていく
-
- 子どもは「うまくできないこと」に傷ついている。
- 保育士や保護者など、周囲の大人が子どもの気持ちに丁寧に寄り添っていく。
でも、どうやって寄り添っていけばいいんですかね?
子どもたちが辛い気持ちになったときは、こんな声かけはどうでしょうか?
- できなくて悔しいよね。
- 何度も挑戦してがんばってるね。
- みんな最初はうまくできないものだよ。
- 実は先生も◯◯がうまくできなくて、よく練習したんだ。
- 失敗することで、少しずつうまくなっているんだよ。
- 先生と秘密の練習をしない?
- すごーくがんばってるから、ちょっと休憩しない?
どんな言葉かけをするかも大切ですが、大好きな先生が自分のことを気にしてくれた、自分のそばにいてくれた、という体験が何よりも心強いのではないでしょうか。
このような内容を自分なりの言葉で保護者に話すと、思いが伝わりやすいのではないでしょうか。
4歳児の発達と成長
4歳児の発達といってもいろいろあるから、何を話したらいいんですかね…。
「ポイントになる8つの項目」と「説明の例」をお伝えします。
*子どもの発達をわかりやすく説明してくれる、この本を参考にしています。
①運動機能:身体の使い方がうまくなる
全身をつかった遊びが増え、運動能力が飛躍的に向上する時期です。体を動かすことが楽しくなり、新しい挑戦にも積極的になります。
- 走る、跳ぶ、投げるなどの動きがスムーズに
- 平均台を渡ったり、ブランコをこげたりと、バランス感覚も成長
- 全身の使い方がうまくなり、ケンケンやスキップもできるように
3歳のころに比べると歩行がさらにしっかりするので、散歩できる時間もぐっと長くなります。片道30分の公園にも行けるので、戸外遊びがさらに楽しくなりますね。
3歳児クラスでは行けなかった公園にも行きたいです!
②人間関係:集団遊びが広がる
友だちとの関わりが深まり、協調性や社会性が育つ大切な時期です。時にはケンカも起こりますが、言葉や気持ちのやりとりは子どもたちの成長につながります。
- 友だちの気持ちを考えられるようになる
- 友だちと一緒に遊ぶことが楽しくなる
- 競争心が高まる
3歳児は「並行遊び」と言って、友だちの隣で別々に遊ぶことが多かったんです。4歳になると、みんなで一緒に遊ぶ楽しさがわかり、集団遊びがどんどん広がっていきます。
ケンカも増える時期ですが、コミュニケーションを学ぶ経験にしたいですね!
③基本的生活習慣:ひととおり自分でできる
自立心が芽生え、基本的な生活習慣が身についていく時期です。できたことを褒めて自信につなげることで、成長をうながしたいですね。
- トイレや着替えがほぼ自分でできるように
- 簡単な手伝いを喜んでする
- 身だしなみや食事のマナーなどにも気づける
3歳のころはまだまだ大人の手助けが必要でしたが、4歳児は「自分でできる!」という気持ちが強くなります。ただ、個人差も大きい時期なので、個別に必要な援助を行って「自分でできる」という自信を高めていくことが大切です。
「ほかの子はできてるのに…」と保護者の方が心配しないように、個人差が大きい時期については、ちゃんと話さないとですね!
④言葉:会話がどんどん広がっていく
言葉を使って自分の思いを伝えたり、相手の気持ちを理解したりする力が育つ時期です。大人との会話を通じて、コミュニケーション能力も高まっていきます。
- 語彙が急激に増えるので、その日の出来事などを詳しく話せる
- 「なぜ?」「どうして?」と何でも知りたがる
- 言葉の面白さに気づき始め、言葉遊びを楽しむように
「〜して、〜して、それから〜」などと、接続詞を使って話をつなげられるようになるので、会話が広がるのが特徴です。
また、好奇心が旺盛になり、「どうして雨がふるの?」などといろいろなことを質問してくるので、その知的好奇心を学びにつなげられるようにするのも大切なことです。
部屋の本棚に「図鑑」を用意しなきゃっ!!
⑤認知:時間や数、色などの理解が進む
知的好奇心が高まり、様々なことを観察し、考える力が育つ時期です。遊びや日常生活の中で、多くの「なぜ?」に出会い、学んでいきます。
- 色や形の区別がしっかりできるように
- 数の概念が育ち、5個程度まで数えられる(個人差あり)
- 時間の概念も育ち、昨日や明日がわかってくる
- 絵本の内容を理解し、想像を膨らませる
3歳児のころよりも、周りの世界をより細かく理解できるようになります。「これは何色?」「いくつある?」なんて聞いてみるのも楽しいかもしれません。
遊びや生活の中で、数や色、形などに自然と触れられる環境をつくりたいですね。
⑥心:自意識が芽生える
感情表現が豊かになり、自分の気持ちを言葉で表現できるようになります。同時に、他人の気持ちを考えられるようになる、大切な時期でもあります。
- 見られている自分を意識して、恥ずかしさを感じるようになる
- 自制心が生まれ、「〜だけど〜する」と考えるようになる
- 自分より小さい子に優しくする気持ちが育つ
心や意識が育つことで「しなくてはいけないこと」と「したいこと」にズレが生まれて、葛藤につながります。
成長しようとがんばっている子どもたちが、ほっと安心できる環境をつくらなきゃですね!
⑦遊び:友だちと想像力を広げて遊ぶ
想像力と創造力が豊かになり、遊びを通じて様々なことを学ぶ時期です。友だちとの協力や役割分担を通じて、社会性も育まれていきます。
- ままごとやお店屋さんごっこなど、想像力豊かな遊びを楽しむ
- 積み木や粘土など、創造的な遊びにじっくり取り組む
- 友だちと協力して、大きな作品を作ったりする
3歳児のころよりも、遊びの幅がぐっと広がります。子どもたちの豊かな発想に、大人も驚かされることがあるかもしれません。
「並行遊び」から「集団遊び」に切り替わっていく時期ですね。
⑧社会性:自分の思いだけではうまくいかないことを知る
集団の中での自分の位置を理解し始め、協調性や社会性が大きく発達する時期です。ルールを守ることの大切さを、遊びを通じて学んでいきます。
- ルールのある遊びを楽しめるように
- 「勝ち負け」の概念が芽生える
- 集団行動に慣れてくる
3歳児のころは自分本位だった遊びも、4歳児になると少しずつルールを守って遊べるようになってきます。みんなで楽しく遊ぶためのルールづくりも、いい経験になりますよ。
1人ひとりの気持ちを大切にしながら、みんなと一緒だから必要な「約束」にも気づけるようにしたいです。
【補足】家庭でできる子どもへのサポート
「子どもの成長のために、家ではどんなことをやったら良いですか?」と保護者に質問されるんですが、どう答えたら良いですかね?
4歳児の姿をもとに、おうちでできる3つのことを紹介します。
①「なぜ?」を遊びにする
知的好奇心が旺盛な子どもたちは、「なんで?」「どうして?」とたくさんの質問をしてきます。
この「なぜ?」を子どもと一緒に探してみませんか?
すぐに答えを教えるのではなく、「お母さんもわからないから、一緒にナゾをとこう!」などと、調べることを遊びにするんです。
- おうちにある本で調べてみる
- 図書館に行って調べる
- 実際の体験を通して調べる
休みの日の「楽しい遊び」になりますね!
子どもの探究心がさらに育ちますし、「わからなかったら調べる」という大切な力が身につくのでおすすめです。
② 親が見本を行動で示す
今度は社会的なマナーや態度を教える方法です。
4歳児は、大人の行動をよく観察し、マネをする時期です。特にあいさつや食事のマナーなど、社会性が育つこの時期に、親が見本を示すことはとても効果的です。
「こうしなさい」と言葉で教えるよりも、親自身の姿で見せることで、子どもは自然とそれを学んでいくからです。
口で「〜しなさい」と言い続けるのって、大変ですもんね。
保育士も保護者も、日々の生活の中で、意識して良い見本を示していくことが大切です。
③ ほっとできる時間を親子で持つ
これが1番大切です!
4歳児は自意識が育ち、周りの目を意識し始める時期です。
「やりたいのにうまくできない」といった葛藤を経験して、心のエネルギーがなくなってしまうことも…。
だから、家庭では子どもたちが安心できる環境をつくるのが、何よりも大切です。「できる・できない」にこだわらず、親子で穏やかに過ごせる時間を少しでも増やせるといいですね。
一緒にお風呂に入ったり、寝る前の読み聞かせの時間などは、親子でほっとできる機会になりますね。
4歳児クラスの懇談会で伝えること
秋や冬にやる保護者会や懇談会では、どんなことを話せばいいんですかね?
年度の途中にやる保護者会などでは、春先に伝えた保育の目標や、子どもたちの発達が「今、どうなっているか?」を話しましょう。
4歳児の発達や保育のポイントを改めてまとめます。
①運動機能
②人間関係
③基本的生活習慣
④言葉
⑤認知
⑥心
⑦遊び
⑧社会性
⑨自意識と葛藤
春からどんな姿になっているのか、 生活や遊びの具体例とともに話すと、保護者にもわかりやすいですね!
じゃあ、①〜⑨がわかるようなエピソードを、日ごろから集めておくとスムーズですね。
4歳児クラスの懇談会でおすすめのグループワーク5選
懇談会のグループワークで、おすすめはありますか?
子育てのアイディアやほかのおうちのやり方がわかるような、楽しいワークを5つ紹介しますね。
グループワークのやり方
1つのワークで30分ほどかかります。
- 3〜4人のグループに分かれて座る。
- グループごとに模造紙、ポストイット、マジックを用意。
- 思いついたことを、ポストイットにどんどん書き出してもらう。(5分)
- ポストイットは大きな模造紙に貼って、グルーピングしてもらう。
- グループ内でお互いに発表しあって、気づいたことなども共有する。(15分〜20分)
- 最後に、自分のグループで話し合ったことを代表者が発表する(5分)
話が盛り上がっていたら、話し合いの時間を少し増やしても良いですね!
1. 「わが家の外遊びアイディア」
- 休日におすすめの外遊びや、その工夫を共有するワーク。
- ワークの前に「外遊びの例」をいくつか伝えると、意見が出やすくなります。
- おすすめの公園、穴場の公園、公園以外で楽しい場所、自転車・電車・車で行ける場所など。
ほかの家の楽しみ方から、新しい遊びのヒントがもらえるといいですね!
2. 「パパ・ママの息抜きタイム」
- 子育て中のリフレッシュ方法や、家族で楽しむ時間の作り方などを話し合います。
保護者同士で共通の趣味が見つかって親近感がぐっと増す、なんてことも起こりますよ。
3. 「イヤイヤ対策アイディア交換会」
- 4歳児特有の”できない”葛藤や、わがままへの対処法を話し合います。
- うまくいったことだけでなく、うまくいかなかった話もできると良いですね。
- 子どもの性別やきょうだいの有無など、環境が似ている人を同じグループにすると話しやすくなります。
答えは出なくても、困っていることを話すだけでもスッキリしますね!
4. 「お手伝いチャレンジ作戦会議」
- 家でお手伝いをやらせているか、何をやらせているかなどを出し合うワーク。
- お手伝いをやらせていないうちも、どんなことをやらせたいかを話します。
- どうやって始めるか、どうしたら継続できるかなど、いろんな意見を出してもらいます。
5. 「わが家の食育大作戦」
- 好き嫌いへの対応や、楽しく食べる工夫などを共有します。
- 子どもの好き嫌いや親の考え方がみんな違うので、それだけでもお互いに刺激になるワークです。
どんなアイディアがあるのか、わたしも知りたいです!
グループワークを通して、子育てのヒントをおたがいにもらいつつ、保護者間の交流がさらに深まるようにしたいですね。
アイスブレイクやグループワークについて、さらに知りたい方はこちらをどうぞ。
まとめ
4歳児クラスの保護者会、懇談会で伝えたい内容をまとめました。
「こんなことを知りたい」という質問があれば、コメント欄にどうぞ!
4歳児クラスの保護者会や懇談会が、楽しく、スムーズにいくことを願っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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