子どものころから図書館にかよって絵本を読んできました。
本好きで保育士歴15年、2児の母かもねぎが感動した絵本を紹介します。
*著作権の都合上、絵本の購入サイトにつながる画像をつかっています。
『どんなかんじかなあ』
① 「やさしい子どもになってほしい」と思う方に読んでほしい絵本
② 自分のこと、友だちのことを想像するきっかけとなる内容
③ わが子に読み聞かせたら、心に“衝撃”を受けていました。
ともだちの まりちゃんは めがみえない。
それで かんがえたんだ。
みえないって どんなかんじかなぁって。
中山千夏 ぶん 和田誠 え 自由国民社
こんな文章で始まるこの絵本。
表紙の男の子・ひろくんが、いろいろな特性のある友だちのことを目をつぶってイメージしていきます。
目が見えない友だちのこと、耳の聞こえない友だちのこと、両親を地震で亡くした友だちのこと。
わかることもあればわからないこともあるし、その特性のすごさに気づくこともある。
ひろくんが友だちのことを「どんなかんじかなあ」と純粋に想像する姿に、大人もいろいろなことを考えさせられます。
わが家で子どもたちに読み聞かせたところ、小1の男子は衝撃を受け、小5の女子は心のなかに種がまかれたようです。
私も読み聞かせの前に自分で読んでみましたが、まさかの展開に驚きました。
これはわが子にはもちろんのこと、保育園の年長クラスでも読みたいと思いましたし、小学生のいるご家庭でも読んでほしいなと感じました。
その理由は3つあります。
① 目が見えない人、耳が聞こえない人、両親を亡くした人などがいることがわかる。
② 「かわいそう」ではなく「考えてみる」というアプローチを持てる。
③ ラストの衝撃により、子どもの心の奥深くまで、絵本の内容が届く。
1つずつかんたんに説明します。
目が見えない人、耳が聞こえない人、両親を亡くした人などがいることがわかる。
「目が見えなかったら、どうやって歩くの?」
わが家の小1男子が読み聞かせのあと聞いてきました。
息子も今までどこかでは“目が見えない人がいる”“耳が聞こえない人がいる”というのは聞いたことがあったと思います。
でも、自分のこととして感じることもなく、「ふーん、そうなんだ」と終わっていました。
しかし、小1の息子は絵本の世界に入りこみ、ひろくんと一緒に「めがみえないって どんなかんじかなあ」と考えてきました。
だからこそ疑問が生まれ、私に質問してきたのです。
耳で聞くだけでは決して想像できないことを、この絵本は子どもたちに教えてくれます。
「かわいそう」ではなく「考えてみる」というアプローチを持てる。
“目が見えない”、“耳が聞こえない”などと聞くと、もしかしたら「かわいそう…」と思うかもしれません。
そして、「かわいそう…」で考えるのはおしまいになり、頭はもう次のことを考え出します。
そうではなくて、「そういう状況の人はどういう感じなんだろうか?」とイメージすることをこの絵本は教えてくれます。
想像してみると“かわいそう”以外のことに気づけます。
ひろくんのように驚きと感動を発見できるかもしれませんし、「こういうところがむずかしいから、こうしたら喜んでくれるかも」と考えられたりします。
和田誠さんのやわらかくシンプルな絵がかたくなっている読み手の心をほぐしてくれるので、絵本の内容が心の奥にまで届いてきます。
これからいろんな人と出会う子どもたちには、ぜひ知っておいてほしい他人との接し方です。
ラストの衝撃により、子どもの心の奥深くまで絵本の内容がやさしく届く。
この絵本に関しては結末を秘密にしておきます。
まずはご自身で読んでみてください。
やさしく、深く、重く、ずずぅーっと、あなたのこころにしみこんできます。
大人である私がこれだけのインパクトを受けたのだから、子どもたちにはとんでもない衝撃になります。
わが家の子どもたちも「えっ…」と無言になり、これはどういうことなのかとすごく考えていました。
“いいわるい”や“かわいそう”なんてものではなく、「世界にはこういう人もいるんだ」ということが事実として伝わります。
そして、自分の体や、自分を取り巻く世界が、あたりまえではないことにも気づくでしょう。
保育園・幼稚園の年長児や小学校の子どもたちに読み聞かせたい1冊。
こころの奥深くにずっと取っておける驚きと感動を、あなたの大事な子どもたちに届けてあげてください。
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